2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜リン脂質リモデリングを標的とした新規抗がん剤の創出
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22K06675
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
山崎 洋子 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 上級研究員 (80342690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百瀬 功 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 主席研究員 (10270547)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | LPCAT1 / 抗がん剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
LPCAT1は生体膜リン脂質生合成における代表的なホスファチジルコリン生合成酵素である。LPCAT1は肺サーファクタント脂質生合成に重要な役割を担っていることが知られているが、近年になりがん細胞の増殖においても重要な役割を果たしていることが明らかになりつつある。 本年度は放線菌、カビ、昆虫病原糸状菌などの微生物代謝産物およびケミカルライブラリーをスクリーニング源として、以下の2つの系でLPCAT1阻害剤のスクリーニングを行った。1次スクリーニングはLPCAT1により生成されるCoAのチオール基をチオール基と反応することで蛍光を発する7-diethylamino-3-(4′-maleimidylphenyl)-4-methylcoumarin (CPM)で検出した。この系は384-wellsプレートを使用した簡便なもので、ヒットしたものについては基質に16:0-d31リゾPCを用いて、LPCAT1により生成されるd31- DPPCをLC-MSで直接検出することによりLPCAT1活性を評価した。 およそ5000種類の微生物代謝産物およびケミカルライブラリーから1次スクリーニングでは40のヒットが得られた。2次スクリーニングで阻害活性を確認できた微生物代謝産物について大量培養によりスケールアップを行ないLPCAT1阻害活性を指標に精製を行った。得られた化合物の構造決定をおこなった結果、tyrosine phosphatase inhibitorであるRK-682が得られた。残念ながら本化合物のLPCAT1に対するIC50値は100 μMと非常に高かったことから、本化合物については研究の継続を断念した。活性の認められた微生物培養液について順次培養および精製を行い、さらに強い阻害剤発見を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スクリーニングは順調に進行しており、ヒット率も問題ない。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続きスクリーニングと並行して、LPCAT1阻害活性の認められた培養液について、精製、構造決定を行なっていく。強い阻害剤が得られた場合には、in vitroでがん細胞に対する制がん活性を確認し、制がん活性がみとめられた阻害剤についてはxenograftモデルで抗腫瘍性を解析する予定である。 またLPCAT1阻害によるがん細胞増殖抑制のメカニズムが不明であることから、CRISPR-Cas9によるLPCAT1 knockout cellを作成中であり、今後解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
5112円と少額なので次年度、試薬に使用する。
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