2022 Fiscal Year Research-status Report
Strategy to control the side effects of Scutellaria Root and their applications
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22K06676
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
大嶋 直浩 国立医薬品食品衛生研究所, 生活衛生化学部, 主任研究官 (30757133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 元也 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (40273437)
羽田 紀康 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (70296531)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オウゴン / 副作用 / バイカリン |
Outline of Annual Research Achievements |
オウゴンは強力な抗炎症作用を示すため臨床で汎用される漢方処方に配合されているが、稀に重篤な間質性肺炎や肝機能障害を引き起こすことがあるため注意を要する生薬である。本研究は、オウゴンの副作用を軽減できる方策を提案するため、オウゴン及び関連漢方処方の成分情報の整備、肺・肝毒性の評価、成分の体内動態評価等を行い、オウゴンの有効性を担保した副作用軽減策の提案を目指している。 昨年度はオウゴンの主成分であるバイカリンが肝細胞毒性を有するエキスの責任成分であることを示した。当該年度はこれを更に検証するため、オウゴンエキスからバイカリンを除去したエキス(除去エキス)を分取HPLCで再調製し毒性軽減の再現性を確認した後、除去エキスにバイカリンを添加して毒性が再び現れるか評価した。その結果、バイカリン添加濃度に依存した肝細胞毒性が認められ、オウゴンエキスが示す肝細胞毒性はバイカリンの含量で制御できることを示した。 他方、他の生薬を配合した漢方処方においては、配合する生薬の種類・量でオウゴンの副作用が劇的に変化することが予想される。これまでにオウゴンとショウキョウの組み合わせでオウゴン単独よりも肝細胞毒性が強く現れることを見出しているが、その成分組成の変化までは分かっていなかった。そこで、両生薬の組み合わせによる成分組成の変化をHPLC等で分析した結果、オウゴン由来バイカレインの抽出量が顕著に減少することを認めた。バイカレインは肝保護作用を有することが報告されているため、ショウキョウとの組み合わせによる同成分の減少は肝細胞毒性の増強に寄与するものと考えられた。さらに、その抽出量減少機構を解明するためショウキョウエキスを分画してバイカレイン抽出量に影響を与える画分を探索した結果、同エキスの高極性画分がバイカレインの抽出量を減少させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はオウゴンエキスによる肝細胞毒性をバイカリン含量で制御できることを明確にした。ショウキョウとの組み合わせではバイカリン含量だけで説明できない毒性が認められ、その主な要因も明らかにすることができた。以上より本成果はオウゴンの副作用制御に資する重要な知見であるため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、オウゴンに含まれる副作用成分の体内動態解明に資する分析法の確立、副作用を軽減できる新規処方の調製並びに成分情報の整備を行う。さらにショウキョウとの組み合わせによるバイカレインの抽出量減少機構を解明する。 尚、副作用データを取り扱う本事業は、断片的な情報発信による解釈の曲解を防ぐ目的で、論文や学会発表などの情報発信を慎重に実施することを心掛けており、今後も適切な情報発信に努めていきたい。
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Causes of Carryover |
消耗品費の減額は複数回の打合せによる実験効率化によるものである。旅費の削減は、打合せや学会のオンライン出席に努めたことによるものである。これらの余剰分を次年度の消耗品費や論文投稿費等に充てる予定である。
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