2022 Fiscal Year Research-status Report
代謝改変を指向したアリストロキア酸生合成の鍵酵素の同定
Project/Area Number |
22K06680
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
寺坂 和祥 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (60405214)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アルカロイド / 生合成 / アリストロキア酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
アリストロキア酸は、ウマノスズクサ科植物に含有されるアルカロイドである。アリストロキア酸が含まれる薬用植物(生薬)を摂取することで、アリストロキア酸がヒトの腎臓に集積し、腎毒性により健康被害を発生させることが知られている。したがって、アリストロキア酸を含む植物での含量の低減もしくは除去ができれば、より安全性の高い薬用植物となる。現在までに、植物中にアリストロキア酸の存在や含量、生合成経路の推定は行われてきたが、生合成酵素の同定には至っていない。 本研究では、薬用植物の利用拡大のための戦略の一つとして、植物におけるアリストロキア酸の生合成のステップを明らかにし、鍵となる分子を同定することを目的としている。また、アリストロキア酸含量を低減し、有用化合物生産へと転換した植物の創出に向けた基盤技術を開発することも目指している。 本年度は、網羅的遺伝子解析によるアリストロキア酸生合成酵素候補遺伝子の取得を行うため、ウマノスズクサ植物体からRNA-seqデータを取得した。その際、これまでのRNA-seqデータより精度を向上させるため、複数の植物体から得たRNAを用いた。さらに、近縁植物のゲノム情報を利用することで、より精度の高いアセンブリーデータを得た。一方、これまでにウマノスズクサから単離していたメチル化酵素遺伝子の機能解析を進め、アリストロキア酸生合成経路の化合物に対する基質特異性を解析した。さらに、ウマノスズクサ形質転換系の構築の基盤として、培養細胞の誘導を試み、誘導に適切な植物組織や条件に関する情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究の初期段階である、網羅的な遺伝子配列情報を得られた。また、形質転換系の構築に必要な培養細胞系の確率に向けた基礎的なデータも得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
取得したRNA-seqデータとアリストロキア酸の蓄積に関するデータから、候補遺伝子を選択し、遺伝子単離を進める。また、ウマノスズクサ植物体の葉などの組織を利用した酵素反応を行い、候補遺伝子に関わる情報を取得する。 形質転換系の構築に向けて、培養細胞系の改善も行い、蛍光タンパク質遺伝子の導入法の検討を行う。
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Causes of Carryover |
シークエンス解析の費用が予定よりも抑えることができたため、使用額が少なくなった。その費用については、次年度の遺伝子単離や培養細胞系の確立の実験に使用する。
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