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2022 Fiscal Year Research-status Report

妊娠期の低酸素状態が子の情動的ストレス応答に及ぼす影響と抑肝散の治療効果

Research Project

Project/Area Number 22K06682
Research InstitutionInternational University of Health and Welfare

Principal Investigator

宮川 和也  国際医療福祉大学, 薬学部, 准教授 (10453408)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 辻 稔  国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (70297307)
黒川 和宏  国際医療福祉大学, 薬学部, 講師 (30454846)
持田 淳美 (齋藤淳美)  国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (80709022)
高橋 浩平  国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (90846411)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords低酸素誘導因子 / 妊娠期ストレス / 不安 / 情動行動 / 低酸素曝露 / HIF1α
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、低酸素環境が脳機能、特に、情動調節に及ぼす影響を検討することを目的としている。特に、妊娠期における母体の低酸素環境が仔に及ぼす影響を検証することを研究の主軸としている。
本年度は、妊娠期低酸素曝露モデルマウスの作成の着手が、物理的な理由で遅れた。現在までに、妊娠期低酸素曝露モデルマウスの行動評価に至っていない。
本年度は、成体期低酸素曝露モデルマウスの脳機能に及ぼす影響を行動薬理学的および生化学的に検討し、成体期における慢性的な低酸素曝露が不安感受性の亢進が誘導されること、また、脳内免疫系および代謝系の重要な機能タンパクの発現変化が誘導されることを見出した。具体的には、海馬におけるミクログリアのマーカーであるIba1の有意な増加、および前頭前野におけるリン酸化AMPKの有意な減少が認められた。一方、変化を予想していた低酸素誘導因子およびその関連分子の変化は認められなかった。
また、本研究では、化学的に脳内低酸素誘導因子の発現増加を誘導することで、情動行動に影響を及ぼすかを検討した。興味深いことに、低酸素誘導因子の分解に関与する酵素の阻害薬であるロキソデュスタットを投与することで、一部の用量ではあるが、抗不安効果を示す知見を得た。
本研究ではさらに、胎生期のストレス環境が成長後の低酸素誘導因子および関連因子の発現に影響を及ぼすかを検証するために、胎生期拘束ストレス曝露モデルマウスを作成し、仔の脳内低酸素誘導因子および関連分子の発現について検討した。本モデルマウスは、仔の不安感受性の亢進が認められることを明らかにしているが、海馬、前頭前野および扁桃体において、低酸素誘導因子および関連分子の発現変化は認められなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は、妊娠期の低酸素曝露モデルマウスを作成し、その行動評価を実施する予定にしていた。しかしながら、曝露装置を設置している部屋の空調の不具合により、予定していた時期のモデル作成を延期せざるをえなかった。そこで、同時に計画していた「①成体期低酸素曝露モデルマウス」、「②胎生期ストレス曝露モデルを用いた研究」および「③化学的な低酸素誘導因子の機能変化に基づく研究」に注力した。
①成体期における慢性的な低酸素曝露により不安感受性の亢進が誘導されたマウスの脳内において、海馬におけるIba1の有意な増加および前頭前野におけるリン酸化AMPKの有意な減少が惹起されることを見出した。一方、低酸素誘導因子であるHIF-1α、HIF2αおよびその分解促進分子であるプロリン水酸化酵素2(PHD2)をはじめ、低酸素誘導因子関連分子に変化は認められなかった。
②胎生期拘束ストレス曝露モデルマウスを作成し、仔の脳内HIF1αおよび関連分子の発現について検討した。本モデルマウスは、仔の不安感受性の亢進が認められることを明らかにしているが、海馬、前頭前野および扁桃体において、HIF-1α、HIF2α、PHD2をはじめ、低酸素誘導因子関連分子に変化は認められなかった。
③化学的に脳内HIF1αの発現増加を誘導することで、情動行動に影響を及ぼすか否か、行動薬理学的に検討した。具体的には、HIF1αの分解を阻害するロキソデュスタットを投与した30分後に、1時間の急性拘束ストレスを曝露し、情動行動を評価した。興味深いことに、一部の用量で抗不安効果を示す知見を得た。次年度、その再現性を評価する予定である。

Strategy for Future Research Activity

妊娠期の低酸素曝露モデルマウスを作成し、その行動評価を実施する。また、得られた行動変化に関連する脳機能の変化を生化学的に検討していく。
また、成体期低酸素ストレス曝露モデルを用いた生化学的検討を継続することで、妊娠期低酸素曝露モデルマウスの生化学的検証ターゲット分子を見出していくとともに、治療方策のヒントとなる知見を求めていく。
さらに、低酸素誘導因子を化学的に制御することが情動機能に影響を及ぼす可能性を見出した本年度の研究成果をさらに詳細に検証していくことで、低酸素曝露による生体への悪影響に対する治療方策のヒントを求めていく。

Causes of Carryover

本年度は、妊娠期の低酸素曝露モデルマウスを作成し、その行動評価を実施する予定にしていた。しかしながら、曝露装置を設置している部屋の空調の不具合により、予定していた時期のモデル作成を延期せざるをえなかった。そこで、同時に計画していた「成体期低酸素曝露モデルマウス」、「胎生期ストレス曝露モデルを用いた研究」および「化学的な低酸素誘導因子の機能変化に基づく研究」に注力したが、これらの研究はすでに研究者が所持していた抗体等を用いた検証が可能であったものが多く、計画当初の予定していた物品を購入するに至らなかった。
次年度は、遅れている「妊娠期の低酸素曝露モデルマウス」を用いた研究を精力的に進めていく予定であり、かつ、本年度得られた知見をさらに詳細に検証していく予定である。したがって、本年度の研究で在庫がなくなった生化学的検討に関わる消耗品の購入などを予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Brexpiprazole prevents colitis-induced depressive-like behavior through myelination in the prefrontal cortex2023

    • Author(s)
      Takahashi Kohei、Hong Lihua、Kurokawa Kazuhiro、Miyagawa Kazuya、Mochida-Saito Atsumi、Takeda Hiroshi、Tsuji Minoru
    • Journal Title

      Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry

      Volume: 121 Pages: 110666~110666

    • DOI

      10.1016/j.pnpbp.2022.110666

  • [Presentation] 睡眠時無呼吸症候群モデルマウスの情動的行動特性と脳機能変化2023

    • Author(s)
      村田千夏、鎌田 祭、宮川和也、持田(齋藤)淳美、梅田 啓、岡田泰昌、武田弘志、辻 稔
    • Organizer
      第147回日本薬理学会関東部会
  • [Presentation] 間欠的低酸素負荷マウスの情動的行動特性と脳機能変化2022

    • Author(s)
      宮川和也、持田(齋藤)淳美、黒川和宏、髙橋浩平、梅田 啓、岡田泰昌、武田弘志、 辻 稔
    • Organizer
      第38回日本ストレス学会学術総会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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