2022 Fiscal Year Research-status Report
漢方薬を活用した口腔乾燥改善薬開発 ~iPS細胞と臨床による検証~
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22K06684
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
川添 和義 昭和大学, 薬学部, 教授 (00248296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
栗本 慎一郎 昭和大学, 薬学部, 講師 (70735018)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アクアポリン / アポトーシス / A-253 / 唾液腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、漢方薬を含む天然由来の化合物または生薬により、唾液分泌障害をもたらすシェーグレン症候群や、高齢者における唾液分泌低下に対して、予防効果が期待できるかを検証し、新規予防方法を確立するものである。最終的にはヒトによる臨床試験を目指すが、まずは唾液腺細胞を用いて、有効な化合物または生薬をスクリーニングにより網羅的に探索した。 まず、ヒト唾液腺由来のA-253細胞に対して、唾液分泌抑制モデルを作成した。これは、シェーグレン症候群において、細胞膜上のアクアポリン5(AQP5)が減少することが知られていることから、これを惹起するTNF-α刺激を用いて、唾液分泌抑制モデルを作成した。これに対して、滋陰作用を示すと考えられる種々の天然医薬品、生薬などを作用させておき、AQP5の減少を抑制するような働きを示すものを探索した。その結果、ナス科植物であるクコの果実(クコシ)より抽出した水溶液にAQP5減少を抑制する働きのあることを見出した。この働きは滋陰作用がないとされるオウレン抽出物にはみられなかった。さらに、その機序について精査したところ、A-253細胞についてミトコンドリアによるアポトーシス誘導が、枸杞子抽出物により抑制されていることが明らかになった。また、アポトーシスに関係するbaxタンパク質発現量の減少やcaspase-3の活性低下がみられたことから、枸杞抽出物には細胞アポトーシスの誘導を抑制する働きがあることが示唆され、これが本活性の一部であることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった、唾液腺損傷に対する回復作用を示す天然化合物の探索はA-253細胞を用いたスクリーニングで達成することができた。また、その作用機序についてもある程度の知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ヒトiPS細胞を利用した唾液腺オルガノイドの作成を行い、A-253と同様の減少が観られることを確認する。さらに、細胞内カルシウムイオン測定による唾液分泌確認の実験系を確立する。
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Causes of Carryover |
2022年度に実施する研究が、一部実施できなかったため、必要な消耗品の購入がなかった。次年度、当該研究を実施する予定。
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Research Products
(1 results)