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2022 Fiscal Year Research-status Report

腎不全及び種々肝疾患に伴う肝薬物代謝酵素のダウンレギュレーションの機序解明

Research Project

Project/Area Number 22K06702
Research InstitutionUniversity of Shizuoka

Principal Investigator

保坂 卓臣  静岡県立大学, 薬学部, 助教 (30611579)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords薬物代謝酵素 / ダウンレギュレーション / 腎不全 / 肝疾患 / 尿毒素 / サイトカイン / 肝星細胞
Outline of Annual Research Achievements

肝硬変等の肝疾患に伴い、肝薬物代謝酵素の発現低下(ダウンレギュレーションと呼ばれる)が起こり、薬物治療が影響を受けることが知られている。この肝薬物代謝酵素の発現低下は腎不全患者でも認められる。しかし、その機序は未だ明らかになっていない。本研究では、尿毒素やサイトカイン、また肝星細胞と肝細胞のクロストークに着目し、腎不全および肝疾患に伴う肝薬物代謝酵素の発現低下の機序を明らかにすることを目的とした。
まず、薬物代謝酵素の発現低下を引き起こす尿毒素を探索するため、ヒト肝細胞様HepaRG細胞に9種の代表的な尿毒素を処置し、主要な薬物代謝酵素であるCYP3A4、CYP2C9、CYP1A2のmRNAレベルを定量的逆転写PCR法にて測定した。その結果、インドキシル硫酸(IS)処置によりCYP3A4およびCYP2C9の発現は顕著に低下し、逆にCYP1A2の発現は著しく増加した。さらに、ISのCYP3A4およびCYP2C9に対する発現低下作用およびCYP1A2誘導作用には明確な濃度依存性が認められた。このことから腎不全に伴う肝薬物代謝酵素の発現低下にはISの体内蓄積が関与している可能性が示された。
次に、TGF-βおよび肝星細胞が肝薬物代謝酵素の発現に及ぼす影響を明らかにするため、HepaRG細胞へのリコンビナントTGF-β処置、またはHepaRG細胞とヒト肝星細胞株LX-2の共培養を行い、CYP3A4 mRNAレベルを測定した。その結果、リコンビナントTGF-βの処置濃度依存的にCYP3A4の発現が低下した。また、LX-2細胞の細胞数依存的かつ共培養時間依存的なCYP3A4の発現低下が認められた。これら結果から、肝疾患時にそれぞれ分泌増加および活性化されることが知られているTGF-βおよび肝星細胞は、肝薬物代謝酵素の発現低下を誘発しうることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

腎不全および肝疾患に伴う肝薬物代謝酵素のダウンレギュレーションに寄与すると考えられる因子として、尿毒素であるインドキシル硫酸およびTGF-βと肝星細胞をそれぞれ見出すことができたため。

Strategy for Future Research Activity

1)インドキシル硫酸(IS)は血管内皮細胞や尿細管上皮細胞において炎症関連転写因子NF-κBを活性化すること、炎症性サイトカインによるP450の発現低下にはNF-κBが関与することが報告されている。そこで、ISによるCYP3A4やCYP2C9の発現低下におけるNF-κBの寄与を、NF-κB標的siRNAを用いたノックダウン実験等により明らかにする。
2)ISは芳香族炭化水素受容体(AHR)のリガンドであるとの報告があり、実際に本研究においてAHR標的遺伝子であるCYP1A2の発現を誘導した。他方、AHRリガンドをHepaRG細胞に処置するとCYP3A4の発現が低下することが報告されている。そこで、ISによるCYP3A4やCYP2C9の発現低下に対するAHRの寄与を、AHR標的siRNAを用いたノックダウン実験等により明らかにする。
3)LX-2細胞の培養上清をconditioned medium(馴化培地)として用いてHepaRG細胞を培養後、CYP3A4の発現レベルを解析する。これにより、LX-2細胞から細胞外へ分泌されるサイトカイン等の液性因子がHepaRG細胞におけるCYP3A4の発現を低下させるかを明らかにする。発現低下が認められた場合、低下に寄与する因子を同定するため、活性化肝星細胞が分泌するとされる主要なサイトカイン(IL-6、IL-8、MCP-1、TGF-β等)に対する中和抗体やこれらの受容体阻害薬の影響を解析する。

Causes of Carryover

単価の高いHepaRG細胞、RNA精製試薬、リアルタイムPCR試薬を多く使うことを予定していたが、想定していたよりも使用量が少なかったため。
次年度は機序解析をメインに行う予定であり、このために使用する各種siRNA、阻害薬、抗体などの購入に充当する。

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Published: 2023-12-25  

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