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2023 Fiscal Year Research-status Report

The evaluation algorithm of population pharmacokinetics for antimicrobial agent dosage regimen applicable to pediatric

Research Project

Project/Area Number 22K06708
Research InstitutionYokohama College of Pharmacy

Principal Investigator

岡田 賢二  横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (00396673)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 千葉 康司  横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (30458864)
山口 浩明  山形大学, 医学部, 教授 (80400373)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords母集団薬物動態解析 / 生理学的薬物速度論解析 / 小児感染症治療 / 治療薬物モニタリング / モデリング・シミュレーション
Outline of Annual Research Achievements

Therapeutic drug monitoring(TDM)において、母集団薬物動態モデル(PPK)を活用した投与設計は、感染症治療に有益な情報を与える。小児では、成長過程に伴う発達度の個体差や病態の変化により、患児の薬物動態が大きく変動するため、小児薬用量の決定には、精度の高い薬物動態パラメータの推定手法の開発が望まれる。本研究では、in silicoの手法を用い、小児感染症治療に実用できる抗菌薬投与設計のPPKモデルの評価法を確立する。
令和5年度は、バンコマイシン(VCM)、アミカシン(AMK)、ゲンタマイシン(GM)の既報の小児PPKモデルを再構築した。モデルからのシミュレーション値と各抗菌薬の既報観測値を比較することで、小児PPKモデルの適用性と抗菌薬の血漿中濃度の予測精度を評価したところ、AMKにおいては、検討した小児PPKモデルのうち臨床上最も有用と考えらえられるモデルを見出した。臨床で使用可能なVCMの小児PPKモデルにおける血漿中濃度の予測精度を検討したところ、ピーク値付近の高濃度領域で予測精度が低く、構造モデルの改良が必要であることが示唆された。また、小児患者における薬物動態を定量的に予測するために、試験的に成人におけるアルベカシンの生理学的薬物速度論(PBPK)モデルを検討した。既報ABK血漿中濃度を解析し、健常成人および腎機能障害患者に適用可能なパラメータを推定し、成人ABKのPBPKモデルを構築した。さらに、日本人小児に適用可能なPPKおよびPBPKモデルを評価にするためには、日本人小児の臨床データが必要である。日本での小児の抗菌薬TDMの実態を明らかにするために、医療情報データベースを用いた疫学調査を実施し、抗菌薬別処方例数、TDM実施例数、抗菌薬別TDM実施率を明らかにした。これらの成果を、日本薬学会および日本医薬品安全性学会にて発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和5年度は、TDM対象抗菌薬の小児既報PPKモデルの再構築と既報観測値を用いたモデルの適用性の評価を目指した。既報のVCM、AMK、GMのPPKモデルを再構築し、文献からでも入手可能な年齢、体重、血清クレアチニン値を共変量に組み込んだPPKモデルを対象に、観測値の既報PPKモデルへの適用性と血漿中濃度の予測精度を評価した。日本でTDMに活用されているVCMの小児PPKモデルについて評価したところ、モデル間で血漿中濃度の予測精度に差を認めないことを確認した。また、トラフ値付近の低濃度域に比べて、ピーク値付近の高濃度域で予測精度が低下することを見出した。AMKにおいては、PPKモデル間でモデルへの適用性および血漿中濃度の予測精度が異なった。検討した小児AMKのPPKモデルの中で、臨床上最も有用なモデルを見出した。一方、GMにおいては、本年度は、既報PPKモデルの再構築の実施にとどまり、既報観測値を用いたPPKモデルの適用性と血漿中濃度の予測精度の評価を進めている。さらに、既報の小児PPKモデルに適用できない小児患者集団では、化合物情報と生体情報に基づいたPBPKモデルの活用が有用と考え、血漿中濃度が公表されている成人アルベカシン(ABK)について、試験的にPBPKモデルを検討し、成人のABKのPBPKモデルを構築した。小児の既報PPKモデルの検証にはTDM対象抗菌薬の小児臨床データが必要である。医療機関での症例調査を実施するにあたり、TDM対象抗菌薬の症例収集の可否を把握するために、医療データベースを活用し、日本における小児の抗菌薬のTDM実施状況を調査した。令和5年度中に特定の医療機関での症例調査の実施を計画したが、臨床研究倫理委員会の申請が遅れ、審査中である。本年度は、解析対象抗菌薬の収集症例数を調査し、症例調査の準備を進めている。

Strategy for Future Research Activity

令和6年度は、引き続きVCM、AMK、GMの未構築の既報PPKモデルの再構築を実施する予定である。新生児期においては、臓器の発達度に応じて薬物のクリアランスが変動することから、在胎週数がクリアランスの予測因子である可能性が考えられる。共変量に年齢、体重、血清クレアチニン値以外に、受胎後週数が組み込まれたPPKモデルを再構築し、臨床的有用性を検討する予定である。水溶性が高く、尿中未変化体排泄率の高い薬物では、小児の成長過程で体水分量や腎の発達度により、薬物動態が変化することが考えられるため、薬物動態パラメータの予測に及ぼす小児の年齢区分の影響について検討する予定である。また、臨床研究倫理委員会の承認が見込まれるため、症例調査を実施する。医療機関において、TDM対象抗菌薬について小児臨床データの後方視的調査を進める。本年度の成果により構築したPPKモデルに、症例調査より得られた小児の臨床データを組み込み、日本人小児のモデルの適用性と予測精度を評価することで、臨床上有用なモデルを探索する予定である。さらに、既報の小児PPKモデルに適用できない小児患者集団では、抗菌薬の化合物情報と小児の生体情報を組み込んだ、日本人小児のPBPKモデルの適用性を評価する予定である。

Causes of Carryover

令和5年度は、PPK解析、モデリング&シミュレーションを実施するための数理解析用コンピュータおよびPPK解析ソフトウエアーのライセンス費用を計上したが、所属研究室が所有するコンピュータおよびPPK解析ソフトウエアーを共用できたため、これらの物品費を支出しなかった。令和6年度は、異動により所属研究室が変わったため、PPK解析、モデリング&シミュレーションのソフトウエアーの新たな契約が必要となるため、ライセンス費用として300千円を支出する予定である。血漿中薬物濃度測定、症例データ管理に要する消耗品費用として200千円の支出を予定している。また、研究成果を公表するため、国際学会発表の旅費として600千円、国際学会参加費として150千円、論文投稿の諸費用として200千円の支出を予定している。

  • Research Products

    (4 results)

All 2024 2023

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] 小児に対する投与量設定のための既報アミカシン母集団薬物動態モデルの適用性と経験的ベイズ推定による血中濃度の予測精度2024

    • Author(s)
      碇 結貴、岡田 賢二、小林 洋介、吉門 崇、岡 美佳子、千葉 康司
    • Organizer
      日本薬学会第144年会 横浜
  • [Presentation] 小児医療情報収集システムを用いた小児科領域における抗菌薬の治療薬物モニタリングに関する実態調査2024

    • Author(s)
      岡田 賢二、中野 孝介、出口 尚子、三井 誠二、中國 正祥、庄司 健介、小林 信二、小林 洋介、吉門 崇、岡 美佳子、千葉 康司、朝田 瑞穂、植沢 芳広
    • Organizer
      日本薬学会第144年会 横浜
  • [Presentation] 既報バンコマイシン小児母集団薬物動態モデルにおける適用性の検討2023

    • Author(s)
      小松 えれな、岡田 賢二、小林 洋介、吉門 崇、岡 美佳子、千葉 康司
    • Organizer
      第26回日本地域薬局薬学会年会 東京
  • [Presentation] 腎機能別投与設計を指向したアルベカシン生理学的薬物速度論モデルの構築2023

    • Author(s)
      岡田 賢二、小林 洋介、吉門 崇、岡 美佳子、千葉 康司
    • Organizer
      第9回日本医薬品安全性学会学術大会 東京

URL: 

Published: 2024-12-25  

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