2022 Fiscal Year Research-status Report
アンドロゲンシグナルから捉えるCOPD病態の解析と治療薬の探索
Project/Area Number |
22K06715
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松本 純一 福岡大学, 薬学部, 助教 (10550064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 太一 福岡大学, 薬学部, 講師 (80570803)
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 教授 (90341453)
渡辺 拓也 福岡大学, 薬学部, 助教 (90509647)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | COPD / テストステロン / T細胞 / 肺気腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
テストステロン低下に伴う加齢男性性腺機能低下症とCOPD併存症の症状は類似しており、テストステロンの低下がCOPD病態における肺病変だけでなく併存症の病態進展に深く関与する可能性が予想される。しかし、テストステロンの低下がCOPD併存症発症に及ぼす影響やCOPD病態下における肺と併存症の患部臓器(脳、筋肉)を繋ぐ臓器連関の仕組みやその制御因子は不明なままである。本研究課題では、これまでの研究成果を基盤としてテストステロン低下を契機とした臓器連関の異常化がCOPD病態およびその併存症の進展・増悪に及ぼす影響について明らかとする。また、COPD病態の進展・増悪機構に対する選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARM)の作用を検証し、COPDの肺気腫や併存症の新規治療法として可能性を追求する。 令和4年度は、低テストステロン状態下における肺気腫の増悪機序とT細胞免疫異常化の関与を明らかとするため、テストステロン低下およびPPE誘発肺気腫モデルマウスの作製および抗CD3抗体投与によるCD3+T細胞除去法を組み合わせて動物実験を行った。抗CD3抗体投与に伴いマウスの末梢血におけるT細胞数はほぼ除去された。また、抗CD3抗体投与に伴う末梢血中T細胞除去はテストステロン低下およびPPE誘発肺気腫モデルマウスにおける肺気腫の増大および肺へのT細胞浸潤を有意に抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、低テストステロン状態下における肺気腫の増悪機序とT細胞免疫異常化の関与を示唆する実験証拠を得ることができた。この結果は本研究課題の中核となる重要な実験証拠であり、次年度は本年度の研究成果を基盤としてテストステロン低下時におけるT細胞免疫異常化と肺気腫形成の関連性をフローサイトメトリーを用いて解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果は、低テストステロン状態におけるT細胞の肺浸潤増加がPPE誘発肺気腫形成の増悪に寄与する可能性を示唆した。今後は低テストステロン状態におけるT細胞の肺浸潤機構の詳細を明らかとするため、テストステロンのT細胞の分化・成熟器官である胸腺の解析を実施する。また、各組織(肺、胸腺、脾臓)におけるT細胞サブセット解析を実施し、テストステロン低下時のT細胞サブセットの不均衡と肺気腫形成の関連について検討を行う。上記の実験と並行してCOPD併存症の解析を行うため、モデルマウスの飼育期間をPPE投与16週間後まで伸ばして行動解析を実施する。
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Causes of Carryover |
COPD併存症の解析を実施するためのモデル作製および行動解析、病理組織解析に通常5カ月という長期間が必要となる。そこで、当初予定していた実験計画を行う順番を一部変更したため、予定していた金額を下回った。現在、作製したモデルマウスの行動解析が継続中であり、次年度には現在行動解析中のモデルマウスから回収した臓器の生化学的解析を実施し、その経費に本年度の未使用額を使用する予定である。
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