2022 Fiscal Year Research-status Report
がん治療における抗体医薬品の治療薬物モニタリング法の構築
Project/Area Number |
22K06718
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土岐 浩介 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90620881)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 抗体医薬品 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療に用いる抗体医薬品は、その治療効果と副作用の発現に個人差がある。この個人差には、がん患者の複雑な患者背景や疾患の状態による抗体医薬品の血中濃度の変化が関連する可能性がある。本研究では、がん治療における抗体医薬品の高い治療効果と副作用の軽減を目指して、抗体医薬品の体内動態の特徴を考慮した治療薬物モニタリング法を構築する。 抗体医薬品のラムシルマブ、又はニボルマブが投与されている胃がん患者を対象として、各抗体医薬品の血中濃度と効果/副作用の関係、および抗体医薬品の血中濃度の変動要因について検討した。腹水穿刺による腹水の排液が得られた患者については腹水中濃度も測定した。その結果、静脈投与されたラムシルマブ、又はニボルマブは腹水中に移行しており、腹水/血清中濃度比はラムシルマブが0.24-0.35、ニボルマブが0.17-0.55であった。また、腹膜穿刺による腹水の除去により、静脈投与された抗体医薬品のうち、ラムシルマブでは15.3-30.3%、ニボルマブでは5.2-27.4%が体外に除去されていた。さらに抗体医薬品の腹水への移行に伴い、血清中の抗体医薬品の曝露量も低下していた。これらのことから、胃がん患者における大量腹水の貯留が抗体医薬品の体内動態の変動要因となる可能性が明らかになった。また、ラムシルマブの母集団薬物動態解析の結果から、体重および大量の腹水貯留が薬物動態の変動要因であることが確認され、大量腹水患者では抗体医薬品の十分な曝露量が得られない可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各解析対象医薬品について解析に必要な症例数が順調に集積されており、期間内に目的とする解析が行えると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
測定した抗体医薬品の血中濃度データに基づいて母集団薬物動態解析を進めて、さらに血中濃度と効果/副作用の関係を検討する。また、生理学的薬物速度論モデル解析も進める。
|
Causes of Carryover |
研究の実施に必要な試薬を購入するためには残額が不足していたため、残額を翌年度分と合わせて試薬の購入等のために使用する。
|
Research Products
(2 results)