2023 Fiscal Year Research-status Report
がん治療における抗体医薬品の治療薬物モニタリング法の構築
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22K06718
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土岐 浩介 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90620881)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抗体医薬品 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療に用いる抗体医薬品は、その治療効果と副作用の発現に個人差がある。この個人差には、がん患者の複雑な患者背景や疾患の状態による抗体医薬品の血中濃度の変化が関連する可能性がある。本研究では、がん治療における抗体医薬品の高い治療効果と副作用の軽減を目指して、抗体医薬品の体内動態の特徴を考慮した治療薬物モニタリング法を構築する。 消化器癌患者を対象に大量の腹水貯留がラムシルマブの血中濃度におよぼす影響について腹水症例を含む消化器癌患者を対象として検討した。母集団薬物動態解析の結果、大量腹水と体重がラムシルマブのクリアランスに影響する因子であり、クリアランスは腹水なし/軽度腹水患者と比べて大量腹水患者で高い値を示した。ラムシルマブのトラフ血中濃度は、腹水なし/軽度腹水患者と比べて大量腹水患者で低い値を示した。大量腹水を貯留する患者ではラムシルマブの腹水移行によってクリアランスが増加し、血中ラムシルマブ濃度が低下すると推定された。大量の腹水が貯留した患者の血中濃度は、治療効果の高いとされるトラフ血中濃度に達していないことから、大量に腹水を貯留した症例ではラムシルマブの血中曝露量が十分でない可能性が考えられた。 また、母集団薬物動態解析で明らかになった大量の腹水貯留や体重のようなラムシルマブの薬物動態の変動要因以外に、効果や副作用発現に影響する要因として患者背景の違いなどについて解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析に必要な症例数が順調に集積され、期間内に目的とする解析が行えると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
母集団薬物動態解析で判明した薬物動態変動要因以外に、効果/副作用に影響する患者背景などについて調査を進める。また、生理学的薬物速度論モデル解析も進める。
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Causes of Carryover |
研究の実施に必要な試薬を購入するためには残額が不足していたため、残額を翌年度分と合わせて試薬の購入等のために使用する。
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