2022 Fiscal Year Research-status Report
Prediction of drug disposition into brain in elders using clusters of daily variation in gene expression
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22K06729
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
藤村 昭夫 自治医科大学, 医学部, 客員教授 (90156901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 靖 自治医科大学, 医学部, 教授 (20359631)
牛島 健太郎 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (70448843)
土屋 裕義 自治医科大学, 医学部, 講師 (80508755)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / 体内時計 / 薬物動態 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はまず、若齢マウスの脳組織かららデキストランを用いて脳血管内皮細胞(BMV)を分画し、各種ABCトランスポーター発現のリズムを測定した。その結果、トランスポーターのmRNAおよびタンパク質の発現量に明瞭な日内リズム性変動は認めなかった。これは、既に報告がある小腸や肝臓など末梢組織における発現と異なるパターンである。続いて、ABCトランスポーターのmRNA発現量が比較的高い13時を採取時刻として、若齢マウスと高齢マウス(85週齢)から同様にBMVを分画した。このサンプルを用いて各種ABCトランスポーター発現量を解析した結果、若齢マウスと高齢マウスの間に大きな違いを認めなかった。 ここまでの検討では、全細胞からのタンパク抽出液(Whole cell lysate)を使用したため、細胞膜における発現量を正確に比較できていない。トランスポーターの機能部位は細胞膜であるため、薬物輸送における加齢の影響を評価するためには細胞膜上のトランスポーター発現量を比較する必要がある。予備的検討として、肝臓や腎臓から細胞膜画分を抽出して、ABCトランスポーターの発現量を若齢マウスと高齢マウスで比較した。その結果、一部のトランスポーターにおいて細胞膜上の発現量が若齢マウスよりも高齢マウスで減少していることが示唆された。 以上より、脳血管内皮細胞におけるABCトランスポーターの遺伝子発現及びタンパク質発現は、加齢の影響を受けない可能性がある。しかし、細胞膜への局在が加齢により低下していることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デキストランを用いて脳血管内皮細胞(BMV)を分画し、各ABCトランスポーターの発現量を測定できている。デキストランが次世代シーケンス解析に影響することが判明したため対策を講じる必要がある。ABCトランスポーターの発現に及ぼす加齢の影響が、末梢組織とBMVで異なることが新たな知見であり、研究の進捗はおおむね順調と考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
膜タンパク質が安定して膜局在するためには、細胞質側の足場タンパク質の支援が必要である。細胞膜画分におけるABCトランスポーター発現量に加えて、足場タンパク質の発現量が若齢マウスと高齢マウスで異なるか否か明らかにする。 足場タンパク質の発現量や細胞膜局在が加齢によって低下していた場合、その発現低下をきたす主要因をエピゲノム制御の面から解明していく。
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Causes of Carryover |
試薬等の購入費が当初よりも少なかったために、次年度使用額が生じている。しかし、2022年度の執行率は93.3%であり、おおむね当初計画通りに執行できている。次年度使用額は、2023年度分と合わせて各種実験に必要な消耗品(試薬や器具類)の購入に充てる。
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