2023 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患発症予測バイオマーカー探索:血清エクソソーム由来カルボン酸の有用性の検討
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22K06733
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小野里 磨優 東邦大学, 薬学部, 講師 (50610094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田形 弘実 東邦大学, 医学部, 助教 (50888542)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カルボン酸 / キラル / 誘導体化 / LC-MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
市販のN-CBZ化アミノ酸誘導体を原料として新規合成したキラルイミダゾリジノン環を有するカルボン酸標識化試薬(CIM-C2-NH2)とODSカラムを装着した高速液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計(LC-MS/MS)を用いて、ヒト血清およびエクソソーム中に含まれるカルボン酸の検出を目指した。まずは、ヒト血清を対象として前処理法および測定法の条件検討・最適化をおこなった。 文書による同意を得た健常人の血清30 μLをサンプリングし、メタノール/アセトニトリルの混液を用いて、除タンパクした後、遠心分離をした。得られた上清を蒸発乾固した後、H2Oで再溶解し、CIM-C2-NH2を用いて誘導体化した。各ステップの条件検討の結果、使用する誘導体化剤の濃度は25 mM(10 μL)、縮合剤としてはTPPとDPDS(各250 mM、10 μL)、60℃で30分間の加温下で誘導体化をすることが最適であることを見出した。さらに、移動相についても検討をおこない、0.05%ギ酸 in H2O / MeCNを用いたステップワイズ法で測定条件を構築した。 これらの最適条件に基づいてヒト血清を誘導体化・測定したところ、乳酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、馬尿酸、コハク酸、グルタル酸を検出でき、全てのピークは75分以内に溶出した。健常人群およびARMS群の血清中カルボン酸の定量を実施、継続している。 加えて、ラットへのカルボン酸投与実験を行い、投与後の血中および脳内でのカルボン酸の濃度推移についても検討し、その成果を学会発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CIM-C2-NH2を用いた当教室で保有しているARMS群、Control群の血清ヒト血清中有機酸の測定はおおむね実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト血清に続いて、当教室で保有しているARMS群、Control群の血清より市販キットを用いて単離・回収したエクソソームの膜を破壊して得た血清エクソソーム画分をCIM-C2-NH2により標識化後、超高速HPLC-高分解能質量分析計(LC-HRMS)で測定する。カルボキシ基を有する分子をピークとして網羅的に検出した後、各々のピーク面積を統計解析ソフトSIMCA16により多変量解析し、2群の判別に寄与するピーク(カルボン酸標識化体)を抽出する。抽出されたピークの元素組成をデータベース上で検索し、2群間で有意な濃度変動をしている血清中およびエクソソーム画分のカルボン酸を同定する。併せて、血清中・エクソソーム画分のカルボン酸濃度と臨床症状スコア(陰性症状・陽性症状・認知機能の尺度)との相関性も明らかにする。
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Causes of Carryover |
「謝礼」として計上していたが、今年度は謝礼を支出する機会がなかったため、次年度に繰り越すことになった。 2023年度の未使用額と2024年度の研究費とを合わせて、血液試料提供者及び採血等の作業協力者への謝礼、血清及びエクソソーム画分のカルボン酸測定の為の試薬等に使用する予定である。
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