2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of bone metastasis mechanisms focusing on novel osteoclast inducing factor derived from highly bone metastatic lung cancer cells.
Project/Area Number |
22K06747
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
八木 秀樹 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (40250740)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨転移 / 破骨細胞誘導因子 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、様々な悪性腫瘍において、「癌幹細胞」と呼ばれる自己複製能と多分化能を有する細胞群が存在し、癌の多剤耐性や悪性度、更には転移性との関連が報告されている。この癌幹細胞の性状を明らかにし、癌幹細胞に選択性を有する治療法を開発することは癌の治療法として大変有意義である。 癌転移は、患者の予後を大きく左右する重要な要因であり、癌治療において転移を抑制することも大きな課題である。特に骨転移では、激しい痛みを伴い、予後のみならずQOLも大きく低下させる要因となっている。肺癌で多く見られる溶骨性転移においては、破骨細胞により骨破壊が進行し、骨基質より溶出する増殖因子が腫瘍の成長を加速させる。よって、その初期段階である骨破壊の機構を解明することは骨転移の抑制やQOL向上にもつながる。 骨転移モデル作製中に確立したヒト肺腺癌高骨転移株A549fm2細胞と親株A549P細胞との性状比較を行った。骨は血管が豊富で酸素の多い部位であるため、骨転移には酸化ストレス耐性を獲得することが必要条件であると考えられる。酸化ストレス耐性獲得機構としてシスチン-グルタミン酸トランスポーターxCTはその第一候補である。xCTは細胞内にシスチンを取り込み、細胞内でシステインに変化させ、還元型グルタチオン(GSH)の合成を促進することで、活性酸素種(ROS)を減少させ、癌細胞の生存を助けるという報告がある。フローサイトメトリーにてxCTの発現比較を行ったところ、A549P細胞に比較してA549fm2細胞ではxCTの発現が高かった。また、また、A549Pと比較するとA549fm2では細胞内GSH濃度が高く、ROSが低かったことから、xCTの発現増加に伴い、酸化ストレス耐性能を獲得していることが示された。よって、高骨転移株であるA549fm2細胞はxCT発現を増加させることで、骨転移へ有利に性状を変化させていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、プラスチック器具等や試薬等の入荷の遅れなどがあり、実験が思うように進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
高骨転移性ヒト肺腺癌A549fm2細胞とその親株A549-p細胞との性状を比較することで、骨転移メカニズム解析への手掛かりを得るとともに、肺癌細胞が導く破骨細胞誘導メカニズムを解明することで新規の骨転移抑制剤の開発を目指す。 癌幹細胞関連分子であるALDH、CD133、Lgr5、ABCG2の発現や幹細胞のniche停留に必要といわれるCXCR4発現などをフローサイトメトリーで解析する。合わせて申請者が作製した抗sphingosine 1-phosphate (S1P) receptor-1 (S1PR1)モノクローナル抗体を用いて、その発現を検討する。S1PR1はリンパ球が胸腺より血液中に移出する際に必須な分子であり、近年癌転移の関与が報告されている分子である。癌幹細胞性はside population法やALDEFLUORを用いたフローサイトメトリーで解析し、必要があればセルソーターで細胞を単離し、それらの細胞から遺伝子を抽出、RT-PCRで解析する。転移関連分子としてepithelial-mesenchymal transition (EMT)関連分子として、snail, slug, twist, ZEB1, ZEB2など発現を、また破骨細胞誘導に関与するサイトカイン遺伝子発現をリアルタイムRT-PCRによるRNA発現定量法にて行う。 新規破骨細胞誘導因子の探索に向けて、A549fm2細胞の培養上清を大量に集めて、硫安分画等を行い濃縮し、イオン交換クロマトグラフィーやゲルろ過クロマトグラフィーにより分画し、その分画をマウス単球細胞株RAW264.7細胞に添加、培養し、酒石酸耐性酸性フォスファターゼ陽性多核巨細胞の出現を指標に破骨細胞誘導活性を測定する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症への対応により、研究計画が大幅に遅延したため、次年度への繰越金が生じた。 次年度は、幹細胞マーカーに対する抗体を購入し、培養上清の分画に向けたイオン交換クロマトグラフィーやゲルろ過用のカラムの購入する予定である。
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