2023 Fiscal Year Research-status Report
The roles and regulation of damage-associated molecular pattern in drug-induced liver injury
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22K06749
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
桝渕 泰宏 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (10209455)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 薬剤性肝障害 / 細胞障害関連分子パターン / バイオマーカー / スチリペントール / イソニアジド |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤性肝障害 (drug-induced liver injury, DILI) のバイオマーカーの1つとして、細胞障害関連分子パターン (damage-associated molecular pattern, DAMP) がある。DAMPは、DILIの進展や逆に修復プロセスに重要な役割を果たす可能性が指摘されていることから、本研究では、DILI発症におけるDAMPの役割を解明することを目的とした。DILI発症とDAMPの関連を調べるには、反応性代謝物 (RM) を介する、より多様なDILIモデルが必要と考え、令和5年度は以下の検討を行った。 1.抗てんかん薬スチリペントール(STP)はメチレンジオキシフェニル(MDP)基を有し、P450と阻害性代謝中間体(MIC)を形成する可能性がある。そこで、STPおよび種々の構造を有するMDP化合物によるRM生成を検討した結果、MDP化合物によるCYP1A2の時間依存的阻害が観察された。また、約 455 nm に極大をもつスペクトルが得られ、これはフェリシアン化カリウムによって消失し、MICの形成が示された。この酸化剤によるMICの解離は時間依存的阻害を部分的に減弱させたことから、MICが関与していることが示唆された。 2.肝障害惹起薬物として知られる抗結核薬イソニアジド(INH)によるRM生成とCYP2E1の役割を検討した。INHはCYP2E1の時間依存的阻害を示し、グルタチオンおよびカタラーゼはこの阻害の防御しなかったことから、RMがCYP2E1に自殺的に共有結合していることが示された。INHの代謝物アセチルヒドラジンやヒドラジンによっても時間依存的阻害が観察されたが、INHの加水分解阻害やアセチル化を活性化してもこの阻害に影響しなかったことから、INHのCYP2E1による酸化代謝によりRMが生成すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度、既知の肝障害惹起薬物としてアセトアミノフェンならびに四塩化炭素を用いて「マウスDILIモデルの作製」を達成した。DILI発症とDAMPの関連を調べるには、より多様なDILIモデルが必要と考え、令和5年度は、STP をはじめとするMDP化合物ならびにINHによるRM生成に関する検討を行った。その結果、STPに関しては、MIC形成を介した時間依存的なCYP1A2阻害を引き起こし、CYP1A2を介したRM生成が示唆され、DILIのみならず薬物間相互作用に関与している可能性が示された。一方、INHを用いた検討では、CYP2E1により INHのRMが生成されCYP2E1自身を標的とすることが明らかとなり、ハプテン化CYP2E1が免疫介在性肝障害に関与している可能性が示された。以上、令和5年度はin vitroにおける検討が多くなったが、本研究計画自体はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は新たなDILIモデル構築するための候補薬として、上述の通り、STPとINHを見出すことができた。今後は、これら新規候補薬によるDILIモデル構築とDAMPの検出を進めたい。また、当初の研究計画通り、血清DAMPの測定とDAMP暴露による過剰分泌モデルの作製、グリチルリチンを例にしたDAMP阻害によるDILI防御の検討、ならびに尿酸修飾薬によるDILI防御の検討を行い、肝障害発現に直接的にかかわるDAMPを同定するとともに、より効果的かつメカニズムに基づいた肝障害防御法を提案するためのデータを蓄積していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度は、上述の通りin vitroの検討が中心となったため、実験動物(マウス)、試薬(医薬品、酵素、サイトカイン、抗体)、器具(マイクロプレート、チューブ類)の使用量が抑えられ、消耗品購入を削減することができた。一方、当初計画においては、コロナ禍で予定、計上していなかった学会出張が、次年度には本格的に実施可能と考えられるので、次年度使用額は旅費および学会登録費に充てることを予定している。また、論文投稿費については、年度末時点で投稿済みで掲載に至っていない論文が複数ある。これらの掲載雑誌は確定しておらず、掲載料も雑誌によって大幅に異なるため、それらの費用も確保しておきたい。
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Research Products
(2 results)