2022 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜螺旋動脈の成熟過程依存的な妊娠高血圧症候群に対する薬物療法の開発
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22K06750
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (40453518)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 絨毛外栄養膜細胞 / 子宮螺旋動脈 / 血管内皮細胞 / 浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧症候群の患者背景の一つは初産婦であり、着床前に子宮螺旋動脈再構築の成否要因が存在する可能性がある。「着床以前の子宮における血管形成が、妊娠初期の子宮螺旋動脈再構築に影響を及ぼす」との仮説を検証するため、着床以前に血管新生因子であるエストロゲンおよび血管内皮細胞増殖因子を阻害することで、子宮螺旋動脈再構築に与える影響を解明することを目的としている。未産ラットを飼育し、膣スメア法にて生理周期管理し、着床日までの血管形成不全をERαReceptor 阻害剤およびVEGF-A阻害剤を投与することで惹起した。妊娠18.5日に解剖し、子宮内膜および脱落膜での栄養膜細胞の浸潤を評価することで、子宮螺旋動脈血管再構築を評価した。上述の着床前子宮血管新生抑制ラットにおいて、対照群と比較し、血圧がわずかに上昇し、絨毛外栄養膜細胞の子宮内膜における浸潤は減少した。したがって、着床前における子宮血管の成熟度は、妊娠初期における子宮螺旋動脈の再構築に影響する可能性が示唆された。子宮螺旋動脈は、血管内皮細胞が胎児由来の絨毛外栄養膜細胞と置き換わることで再構築され、胎児成長に伴う胎盤血流の増加を実現するが、この再構築不全が胎盤虚血の原因とされる。絨毛外栄養膜細胞が内皮細胞指向性に浸潤する機序は不明であるため、ヒト絨毛外栄養膜細胞と、ヒト血管内皮細胞との共培養により、栄養膜細胞の浸潤を確認した上で、RNA-seqにより両細胞の間で、浸潤を促進する因子の探索を行なった。その結果、細胞走化性および細胞外基質分解酵素の一部に栄養膜細胞が内皮細胞指向性の浸潤を担う因子の候補が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗は、研究の計画に対して概ね順調に進展している。しかしながら、仮説の証明のためには、分子機構論の詳細を継続して検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の実績概要で示した着床前の子宮血管抑制が子宮内膜の栄養膜細胞の浸潤に与える影響について、子宮螺旋動脈再構築に対して特異的に影響を及ぼしているかどうかを、着床遅延を惹起している可能性と比較しながら解明する必要がある。 また、栄養膜細胞の浸潤促進因子について、RNA-seqdで得られた候補分子に対し、阻害条件を設定し、in vitroにおける浸潤実験において証明する必要がある。
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Causes of Carryover |
当該科研費のみにおいて、研究計画の全体を賄うことはできない。他に利用可能な研究経費を合わせて運用を行なっており、支出期限の近い経費から優先的に利用しているため、支出期限に余裕のある経費については支出を後回しにすることにより次年度使用額が生じるが、研究の進捗は概ね計画通りである。
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