2023 Fiscal Year Research-status Report
Search for characteristic markers of stem cell and cell validation by prediction of cell characteristics using AI
Project/Area Number |
22K06751
|
Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 光利 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60231346)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植沢 芳広 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (90322528)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 培養細胞 / 非接着性培養 / 腫瘍細胞 / 細胞画像 / 異常細胞 / 深層学習 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞加工製品をヒトに臨床応用する際には、培養細胞中の異常細胞を高い精度で早期に発見し、有効性と安全性が保証された製品を提供することが重要になる。令和5年度は、前年度に行った効率良い手法で異常細胞の検出を可能にするために、正常細胞や異常細胞のそれぞれの細胞が有する表現型の特徴を観察することができる条件を検討することで正常細胞中に含まれる異常細胞の凝集能を指標にでた結果をもとにさらに詳細な検討を行なった。正常培養細胞内中にがん細胞を人工的に混入させて検出するモデル研究を試みて行ったところ、「低接着性での培養条件下で正常細胞およびがん細胞の共培養における細胞挙動」について以下の研究成果を得た。 がん細胞を添加した正常細胞試料の低接着性培養条件での細胞挙動に関する検討:正常細胞にヒト胎児肺由来線維芽細胞(MRC-5)を、がん細胞にはGFPを導入したヒト子宮頸癌細胞株(HeLa-GFP)を用いて行った。培養プレートには低接着性プレートを用い、0.03%ポリマーLA717存在下では正常細胞の凝集および増殖の抑制が観察され、HeLa-GFP細胞では足場非依存的増殖が認められた。今回の培養条件による細胞挙動の観察から、がん細胞は活発に動き移動することが、明らかになった。一方、正常細胞は、静止状態を保っており、がん細胞と正常細胞で挙動が大きく異なることが示された。これらの挙動の違いをコンピュータを用いた畳み込みニューラルネットワークで解析した。さらに、これらの細胞画像をパターン認識し、深層学習における学習効率を改善することにより、予測精度を向上させる撮像条件について検討した。その結果、培養日数の経過にしたがって予測精度が高まり、異常細胞の検出精度が高くなること、また、用いる解析モデルによって予測精度が異なることから、予測精度の向上にはエッジングなどの画像処理効果が有効である可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞や組織を用いた細胞・組織加工製品の評価では、ヒトの組織細胞が治療に用いられることから、形質転換細胞などの異常細胞の混入や形質転換のリスクを回避するための異常細胞を検出する方法が必要となる。しかしながら、現時点ではこれらの異常細胞を高い精度で早期に検出するための方法は確立されていないのが現状である。細胞は周囲の条件によって挙動が異なるので、異なる表現形における条件下での挙動に関しての検討が重要になる。そこで、本研究では、異常細胞の検出方法を確立するために、正常培養細胞内にがん細胞を人工的に混入させて検出するモデル実験を試み条件検討を行なった。本研究では品質評価に応用可能な技術として、細胞培養条件を検討し、細胞の形状や微細構造、細胞の分化・増殖の挙動を顕微鏡画像として取得する。得られた画像を人工知能(AI)に学習させることによって正常細胞と異常細胞を識別するシステムを構築することにより、高い精度の予測能を可能にすることを目標としている。令和5年度研究では、交付申請書に記載した「研究目的」に基づいて研究がなされており、研究実績の概要に記載したように令和5年度研究成果は予定どおり達成されている。令和5年度に得られた研究成果については、これまでの研究成果と合わせて第24回応用薬理シンポジウムにて学会発表を行なった。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、本研究は最終年度であることから、研究代表者ならびに研究分担者による報告会を定期的に実施し、交付申請書の研究実施計画に従うとともに、さらなる研究の進展をはかるために、今後も当初の研究実施計画に従って研究を実施していく予定である。本研究は、生化学的および遺伝学的手法による細胞組織研究を専門とする研究代表者とコンピュータによる解析を専門とする研究分担者による共同研究であり、研究代表者と共同研究者がそれぞれの研究領域で有用性が高い研究成果を得るように努める。また密に連絡をとることにより研究を推進するため、頻繁にメール会議を開催するなどの対応により本研究を遂行し、成果を得ていく。また、令和4年度に得られた研究成果においてもデータを統合して学会発表を行ない、他施設の研究者とも情報交換することにより研究を促進する。また、論文として公表する準備を進め、細胞・組織加工製品を実際に使用するには様々な安全性に関する試験が必要になることを報告する。これまでの成果から細胞加工製品の品質を保証する安全性試験に関して、高解像度画像解析技術にAIを用いた学習・予測精度が高い手法を統合して、将来の実践に応用可能な技術について検討していきたい。
|
Causes of Carryover |
(理由) 研究代表者 佐藤光利 は、本年度は、すでに保有している器具および試薬等での検討を中心に研究を実施したので物品費経費の使用は少なかった。そのため科研費からの支出は、研究補助者の人件費として使用した。また、研究分担者 植沢芳広 博士は、コンピュータを用いたデータ解析の条件検討を中心に行ない、令和4年度経費を使用しなかったことにより令和5年度は、繰越金も合わせてコンピュータシステムを充実させるよう、計画に基づいて使用した。 (使用計画) 令和6年度は、本研究課題を実施計画に従って遂行するために物品費として使用するとともに、研究代表者の成果発表のための旅費ならびに研究補助者雇用のための人件費・謝金として使用する。また、研究分担者 植沢芳広 博士 についても、本年度は最終年度であることから令和6年度分担研究費は、旅費として使用して、当初の計画どおり研究を遂行する。
|
Research Products
(1 results)