2023 Fiscal Year Research-status Report
GGCTとxCTのダブル阻害によりフェロトーシスを増強する全く新しいがん治療戦略
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22K06756
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
飯居 宏美 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (00597768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 晋 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (80590695)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フェロトーシス / GGCT / xCT阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、推進方策にそって、フェロトーシス細胞死阻害剤であるferrostatin前処理により、Pro-GAとerastinの併用による細胞増殖抑制効果に対する回復効果と、膜過酸化脂質の抑制が見られるのかについて、BODIPY581/591C11を用いてフローサイトメトリー法で検討した。その結果、ferrostatinによりpro-GAまたはerastinおよびその併用による細胞増殖抑制効果は回復し、細胞膜過酸化脂質の増加も抑制された。このことから2剤の併用によりフェロトーシスの増加が誘導されることがわかった。また、さらなるフェロトーシス誘導メカニズムの解明を行うため、細胞内システインの減少が、pro-GA単剤もしくはerastinとの併用で惹起されるかについて、質量分析器と用いた解析を行った。マウス膠芽腫幹細胞にpro-GAまたerastinおよび2剤を併用するとシステインの減少が起こっていることが確認できた。しかし、これまでにフェロトーシスの指標としてグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)の阻害が報告されているが、proGAおよびerastinの2剤の併用によりGPXの阻害は見られなかった。動物実験ではルシフェラーゼを人工的に発現させたU87MG細胞を免疫不全マウスの大脳実質内に移植した同所性移植モデルに、erastin 5mg/kgまたは10 mg/kgで週に3回腹腔内に投薬し抗腫瘍効果を検討したが、単剤での抗腫瘍効果は見られなかった。次にpro-GA阻害剤との併用であれば抗腫瘍効果を実証することを目指し、動物実験にて抗腫瘍効果について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス膠芽腫幹細胞とヒト膠芽腫細胞においてpro-GAによる細胞死とerastinによる細胞死機構には、フェロトーシス細胞死の誘導が関与することが分かった。また、そのメカニズムにはGPX4ではなく、システインの減少が関与していることを示唆するデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
フェロトーシスが細胞内システインの減少により引き起こされるのかについて、pro-GA単剤またはerastinとの併用サンプルを調整し、質量分析器を用いた解析を引き続き行う。その後、そのシステインを細胞内に供給するN-アセチルシステインを用いてpro-GAまたはerastinとその併用による細胞死が回復するかどうかについて検討する。動物実験ではU87MG細胞を免疫不全マウスの大脳実質内に移植した同所性移植モデルではerastinの抗腫瘍効果が見られなったことから、pro-GAとの併用であれば抗腫瘍効果が見られる可能性を検証する。さらにU87MGの皮下腫瘍であればpro-GAとerasitnの併用による抗腫瘍効果が見られる可能性があることも考え、皮下腫瘍モデルでの動物実験を行う。
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Research Products
(21 results)