2022 Fiscal Year Research-status Report
Mechanistic study on cancer progression based on the comparison between antitumor effects and epithelial-mesenchymal transition by anticancer drugs
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22K06766
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川見 昌史 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (20725775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 幹久 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (20211336)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / 抗がん剤 / がん悪性化 / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮間葉転換(EMT)は、上皮細胞が上皮の性質を失い、間葉系の性質を獲得する現象をいうが、近年EMTががんの悪性化と関連することが明らかになってきている。本研究では、抗がん剤によって主効果とは別に上皮間葉転換(EMT)が誘発されることが、がんの悪性化を促すとの仮説を検証し、EMTに特異的な防御標的を見出すことを目的としている。 2022年度は抗がん効果が示された細胞とEMTが生じた細胞の分取法確立を目的として、膜タンパク質であるITGA2に着目した分取法の構築に取り組んだ。その結果、ITGA2が高発現している細胞群をFACSによって分取したところ、ITGA2低発現の細胞群と比べて、EMTの代表的なマーカーであるα-smooth muscle actinのmRNA発現が増加していたことから、ITGA2がEMTの細胞を分取する膜タンパク質マーカーとして有用である可能性が示唆された。さらに、ITGA2阻害剤によって、抗がん剤誘発性EMTが抑制されたことから、ITGA2自身がEMTの誘発に関与する可能性も明らかになった。一方、アポトーシスを検出するため、細胞外に露出されるホスファチジルセリンをFITC標識したAnnexin Vと反応させ、FITCの蛍光強度によって細胞を分取したが、両細胞においてEMTマーカー発現の差は認められなかったことから、抗がん剤によるアポトーシスはEMTマーカー発現変動には依存せずに誘発される可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は抗がん剤によってEMTを生じた細胞の分取法の確立を目的としており、ITGA2を膜タンパク質マーカーとした細胞分取法を構築し、その妥当性を検証した研究を論文報告することもできた(Kawami M et al., Toxicol Res 38:449-458, 2022)ことから、研究計画としては概ね順調に進んでいるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
ITGA2を細胞表面マーカーとした分取法を用いて、ITGA2低発現細胞(非EMT細胞)とITGA2高発現細胞(EMT細胞)の2つにおける遺伝子発現の違いをRNA-seqによって解析する。また、非EMT細胞あるいはEMT細胞で細胞死が生じているか否かについても検証を行っていく。
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Causes of Carryover |
2022年度はEMT細胞の分取法についての確立を主たる目的として取り組んだが、細胞毒性を生じた細胞の分取法についての検証作業が残されていることが、次年度使用額が生じた主たる理由である。2023年度は、分取したEMT細胞のRNA-seqを進めつつ、細胞毒性によって分取した細胞の特性解析も並行して進める予定である。
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