2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the role of the urorectal septum in the pelvic floor development
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22K06785
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
秋田 恵一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80231819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室生 暁 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (30844360)
原田 理代 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師(キャリアアップ) (80555756)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肛門 / 尿直腸中隔 / 総排泄腔 / 骨盤底 |
Outline of Annual Research Achievements |
1900年代初頭以降の解剖学書の骨盤出口筋の図には『会陰腱中心』が登場する。この登場は、1800年代末の「哺乳類に現れる肛門」についての比較解剖学研究と、「『総排泄腔の分離』による尿生殖洞と直腸肛門管の形成」という発生学的知見が結びついたことによると思われる。申請者らは、これまでに、解剖学書に示されている『会陰腱中心』に相当する腱性組織が見られず、それが肛門管に連続する平滑筋組織によるものであることを明らかにした。また、多くの比較解剖学的文献の考察から、「肛門管は後腸に由来するものである」と考えた。 本研究では、肛門管は総排泄腔の分離によるものではなく、後腸固有の孔であり、さらに会陰腱中心と呼ばれる構造は尿直腸中隔が平滑筋に分化したものであるという仮説を検証することを目的とした。肛門の発生過程における形態変化とそれをもたらす細胞の変化を、総排泄腔ならびに後腸の内腔上皮の解析によって明らかにする。また、尿直腸中隔の形態変化を追跡し、さらに平滑筋や骨格筋組織の形成と分布について明らかにする。 2022年度は、総排泄腔膜の開口前後の発生ステージを中心に、ICRマウス胎児の矢状断連続組織標本を作製した。一般的なパラフィン連続組織切片を作成するとともに、より精度の高い3次元立体構築像の作製を目指して、連続組織切片作製時の切片のゆがみや伸展を防ぐため、粘着フィルムを用いる「川本法」の条件検討を実施した。また、総排泄腔、尿道、肛門の内胚葉性上皮構造と外胚葉性上皮構造の細胞系譜解析を実施するために、それぞれ遺伝子改変マウスの採材を複数の発生ステージで実施した。更に、平滑筋細胞ならびに骨格筋線維の分布や走行を明らかにするため、それぞれanti-Smooth muscle Myosin抗体染色とanti-heavy chain Myosin 抗体染色の条件検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度には、総排泄腔の立体構造についてより精度の高い連続組織切片3次元立体再構築像を作成するために、粘着フィルムを用いる川本法の条件検討を実施できた。また、解析に必要な遺伝子改変マウスの採材を進めることが出来た。更に、平滑筋と骨格筋の分布や走行を解析するための、1次抗体の選別とシグナル増幅等の最適抗体染色条件を確立できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、総排泄腔の構造の変化を立体的にとらえるために、経時的に、連続組織切片からの3次元立体再構築像を作製する。細胞増殖、細胞死、内胚葉性上皮構造、外胚葉性上皮構造、平滑筋、横紋筋の分布について、経時的に、立体的に、解析する。これらの解析により、肛門管は総排泄腔の分離によるものではなく、後腸固有の孔であり、さらに会陰腱中心と呼ばれる構造は尿直腸中隔が平滑筋に分化したものであるという仮説を検証していく。
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Research Products
(8 results)