2022 Fiscal Year Research-status Report
前立腺分泌機構の解明 ~より有効な前立腺癌スクリーニング法の開発を目指して~
Project/Area Number |
22K06793
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
二宮 遼 大分大学, 医学部, 助教 (00794041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 文彦 大分大学, 医学部, 教授 (70252707)
久保 修一 大分大学, 医学部, 助教 (60898097)
秦 聡孝 大分大学, 医学部, 教授 (60404381)
岩崎 和範 大分大学, 医学部, 病院特任助教 (70751808)
鈴木 駿太郎 大分大学, 医学部, 医員 (00937427)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 前立腺 / オルガノイド / PSA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヒト前立腺生検検体より効率よくオルガノイド(器官様構造体)を作製する技術を構築し、作製したヒト前立腺オルガノイドを用いて正常前立腺におけるPSAの分泌機構を解明するため、① ヒト生検検体からの効率的な前立腺オルガノイド作製方法を確立する、② 作製した前立腺オルガノイドを用いて、PSAを中心に前立腺の分泌機構を明らかにする、の2点を期間中の目標として実験を進めてきた。 まず筆者は、ヒト生検検体からの前立腺オルガノイド作製を試みた。しかしながら、生検から得られる前立腺組織は微量であるため、実験に使用できる十分な量のオルガノイドを作製することは大変困難であった。次に、前立腺手術検体から得られた組織片を用いてオルガノイド作製を実施した。その結果、ヒト前立腺由来のオルガノイドの作製に成功した。現在、より効率的なオルガノイド作製のため、成長因子濃度等の緻密な条件検討を行っている。また、得られたオルガノイドの細胞極性の有無や、構成細胞の種類(基底細胞、分泌細胞の比率等)についても、免疫染色やRT-PCR等を用いて解析中である。 加えて、上記実験で得られた前立腺オルガノイドについて、PSAに対する抗体やtight junctionの構成蛋白質ZO-1に対する抗体を用いて免疫染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡下で観察している。これにより、PSAの細胞内局在やオルガノイドを構成する細胞の細胞極性の解析を目指す。 さらに、電子顕微鏡観察により、PSAをはじめとする前立腺分泌機構の解明を進めている。現在、ヒト前立腺手術検体を様々な条件で固定し、電子顕微鏡標本を作製している。最終的に、細胞膜近傍におけるPSAを含む分泌顆粒の微細構造を、免疫電子顕微鏡法も使用して解析できるよう、最適な標本作製方法を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではヒト生検組織よりオルガノイドを作製し実験を進める予定であったが、組織が微量で困難であったため、手術標本を使ったオルガノイド作製に切り替えた。これにより、作製条件の再度検討が必要となり、オルガノイドを用いた各種解析まで年度内には十分にできなかった。しかしながら、より効率的なオルガノイド作製条件の検討という側面からは、当初の目的以上の結果が得られたと考えている。 将来的には、成長因子濃度等の条件を最適化することができれば、微量な生検組織からもオルガノイド作製が可能であると予想される。今後も、効率的な条件の探索に尽力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、手術検体から作製したオルガノイドを用いて、前立腺分泌顆粒のエキソサイトーシスを制御するRab ファミリー蛋白質とそのエフェクター分子の同定を目指す。 さらに、オルガノイドを効率的に培養する条件が決定し次第、前立腺生検組織のような微量なサンプルからのオルガノイド作製に挑戦したいと考えている。 正常な前立腺オルガノイドを用いた各種解析が終了した後は、前立腺肥大症、前立腺癌組織からオルガノイドを作製し、これを構成する細胞の分泌顆粒の動態、細胞接着装置(特に密着結合に注目)、極性について形態学的解析を行い、正常オルガノイドと比較する。特に、正常前立腺オルガノイドを用いて同定済みのRab およびエフェクター分子の発現量、局在にも注目し、これらの疾患において血中PSA が高値を示すメカニズムを明らかにすることを目標とする。
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