2022 Fiscal Year Research-status Report
DNA修復時の「足場」として働く核膜でのリン脂質代謝の機能
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22K06804
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
田中 俊昭 山形大学, 医学部, 客員研究員 (70536987)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DNA二重鎖切断 / DNA修復 / ジアシルグリセロールキナーゼ / DNA修復タンパク複合体 / 核膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA二重鎖切断が生じた際に行われるDNA修復時における核膜の脂質二重膜上のリン脂質代謝酵素、特にzeta型DGKの機能を介したDNA修復のメカニズムを明らかにするために、DNA二重鎖を切断する薬剤(エトポシド・アクチノマイシンD)を添加し、DNA修復過程において変化が認められるタンパクを検索した。 その結果、DNA-PKcs, BRCA1といったDNA修復に不可欠なタンパク質のリン酸化がz型DGK欠失細胞では起こりにくいことが明らかとなった。その結果、z型DGKが欠失すると、DNA修復が著しく遅延しDNA修復過程に大きな障害がでることが明らかとなった。 この知見は、核膜上に集積するDNA修復タンパク複合体形成において、DGKファミリーが重要な役割を担っており、核膜上に集積するDNA修復タンパク複合体とDGKファミリーが深く関与することを示唆するものである。 z型DGKの有無によって、DNA修復タンパク複合体の形成が遅延または阻害されることから、DNA修復過程においてz型DGKが核膜においてDNA修復タンパク複合体をリクルートする働きやDNA修復タンパク複合体のスキャフォールドとして機能している可能性が予想される。 今後は、さらにタイムラプスイメージングや免疫電子顕微鏡を用いて、DNA修復タンパク複合体とDGKファミリーと相互作用が核膜上でどのように働いているのかを検証し、主にz型DGKの挙動を探索していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DGKファミリーのうち、z型DGKの欠失細胞やノックダウン細胞を用いた実験で、DNA二重鎖切断からのDNA修復過程において、DNA修復タンパク複合体の形成がz型DGKの有無によって変化することを見出した。この実験結果は、核膜上に集積するDNA修復タンパク複合体の足場としてDGKファミリーが関与することを示唆している。さらに解析を進めるために、DGKファミリーと相互作用する特定分子を質量分析ならびに次世代シークエンサーにて検索している。今後は、DGKファミリーと特に強い相互作用を有したDNA修復関連分子を同定する。様々なDGKアイソザイムを欠失した際に、DNA修復タンパク複合体の構造および構成要素に変化があるかを検証し、DNA修復能にもたらす影響を検証する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、DNA損傷により切断されたDNAが、核膜へと移動・癒合することによって、クロマチン再配置が起こり、このことがDNA修復に重要であることが示唆されている。この一連の過程における核膜のDGKファミリーをGFPにて蛍光標識し、その動的変化を蛍光ライブイメージングにて解析する。また、核膜上での切断されたDNAとDGKファミリーの相互作用を各種DGKアイソザイムの特異抗体を用い、クロマチン免疫沈降法により検討する予定である。
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Causes of Carryover |
実験状況から翌年度に次世代シークエンサーを用いた大規模な解析が必要となる予定であり、その解析に大幅な研究費が必要となる可能性が高いため。
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