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2023 Fiscal Year Research-status Report

Molecular mechanism of inhibitory synapse formation

Research Project

Project/Area Number 22K06805
Research InstitutionGunma University

Principal Investigator

岩崎 広英  群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30342752)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsシナプス / 抑制性 / テニューリン2
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題では抑制性シナプスの形成について、特にシナプス形成初期に関わる膜タンパク質テニューリン2に着目して解析を進めてきた。
その結果、テニューリン2の細胞内ドメインには微小管結合タンパク質であるEB1/3と結合できるモチーフがあることを見出した。このモチーフを遺伝子工学的に改変した分子を細胞に強制発現させると微小管との相互作用が阻害され、とくに神経細胞に過剰量発現させた場合は抑制性シナプスの形成が阻害されることを見出した。一連の解析を通じて、テニューリン2はEB1/3を介して微小管を形質膜近傍へと係留し、抑制性シナプス構成分子の膜近傍への集積を促すことで抑制性シナプスの形成に関わることを見出した。とくに抑制性シナプスにおける神経伝達物質であるGABAの受容体(GABAA受容体)の細胞表面への表出とテニューリン2の分子局在が良く対応することから、機能的な抑制性シナプス形成においてテニューリン2が重要な役割を担うことが明らかとなった。また、テニューリン2の抑制性シナプスにおける局在解析を通じて、抑制性シナプスは共局在する細胞骨格タンパク質によって分類可能であることを見出した。これらの研究成果を2023年度には論文として報告した。
テニューリン2の脳組織・個体レベルにおける機能についてさらに詳細に解明することを目的とし、テニューリン2の脳組織中での詳細な分子局在やテニューリン2と相互作用する分子の探索やテニューリン2の集積作用に関して分子レベルでの解明を目指す。またテニューリン2欠損マウスは既に作出済である。このマウスの行動について詳細に解析することで、テニューリン2の高次脳機能への役割について詳細に解析する。一連の解析を通じてテニューリン2を介した抑制性シナプス形成の分子メカニズムとその生理的意義について明らかにする。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2023年度は、これまでの成果を論文として報告した。本論文において、テニューリン2がEB1/3を介して微小管を形質膜近傍へと係留し、抑制性シナプス構成分子の集積を促すことで抑制性シナプスの形成に関わることを示した。さらにGABAA受容体の細胞表面への表出にテニューリン2が深くかかわることを示し、機能的な抑制性シナプス形成においてテニューリン2が重要な役割を担うことを示した。
これら一連の解析は、主として海馬分散培養系を用いたin vitroの解析が主体であった。そこで、組織・個体レベルでのテニューリン2の機能について詳細に解析することを目指し、そのための実験条件の確立を重点的に行った。
まず、テニューリン2の脳組織における分子局在については、他のシナプス構成分子と同様、従来の免疫組織化学法では抗体の浸透が不充分であり、染色像を得ることが困難であった。そこで最近開発されたglyoxalを用いた固定法の改良を試みた。その結果、脳におけるテニューリン2の詳細な分子局在について明らかにすることができた。今後は得られた結果を元に、テニューリン2発現細胞の詳細なプロファイリングを行い、テニューリン2の脳における生理機能の解明に役立てる。
テニューリン2の集積作用については生化学的なアッセイ法を確立し、現在、分子間相互作用について詳細な検討を行っている。
テニューリン2欠損マウスについては既に作出済であったことから、行動解析に充分な個体数を確保するべく繁殖を重ねた。

Strategy for Future Research Activity

2024年度は本研究課題の最終年度となることから、これまでの成果を論文として報告することを目指す。
まず、現在解析を進めているテニューリン2の脳における分子局在については、特に海馬に焦点を当てて、テニューリン2発現分子の詳細なプロファイリングを進める。得られた結果を元に、海馬神経回路におけるテニューリン2陽性細胞の機能的意義について、イメージングを主体とした手法により解析を進める。
また、テニューリン2の分子集積作用については、テニューリン2分子内でどの領域が重要であるかについて大まかに絞ることができており、今後は1アミノ酸レベルでの詳細な検討を行う。また分子間相互作用の経時変化について定量的な解析を目指す。一連の解析を通じて、テニューリン2の細胞内における挙動を詳細に解明し、その生物学的意義と対応づける。
最後にテニューリン2の個体レベルにおける生理機能について明らかにするため、テニューリン2欠損マウスの行動解析を行う。既に充分な個体数が得られていることから、まずは行動バッテリー試験を実施し、情動・記憶・認知機能などにおけるテニューリン2欠損マウスの表現型について解析する。野生型と比較してとくに顕著に有意差が認められた項目については、さらに詳細な解析を実施する。
一連の実験を通じて、テニューリン2を介した抑制性シナプス形成の神経細胞内における挙動について分子レベルで解明すると同時に、脳における生理的意義について個体レベルで明らかにすることを目指す。

Causes of Carryover

2023年度に使用を予定していた金額と実際に使用した金額はほぼ同じであったが、2022年度に生じた次年度使用額があったため、その分が2023年度の次年度使用額となった。2024年度はこれまでの成果を纏めて論文として報告することを予定しており、また海外学会でも講演の予定があることから、それらの費用に充てる。またマウスの行動解析にも当初予定していたよりも多額の費用がかかることが想定されており、分子局在解析にも当初の予定よりも多くの抗体が必要となるため、それらの消耗品の費用にも一部を充てる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Interaction between Teneurin-2 and microtubules via EB proteins provides a platform for GABAA receptor exocytosis2023

    • Author(s)
      Ichinose Sotaro、Susuki Yoshihiro、Hosoi Nobutake、Kaneko Ryosuke、Ebihara Mizuho、Hirai Hirokazu、Iwasaki Hirohide
    • Journal Title

      eLife

      Volume: 12 Pages: e83276

    • DOI

      10.7554/eLife.83276

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 接着分子と細胞骨格分子による抑制性シナプス形成機序の解析2024

    • Author(s)
      一ノ瀬 聡太郎, 岩﨑 広英
    • Organizer
      第129回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [Presentation] テニューリン2がEBを介して微小管と相互作用することで抑制性ポストシナプスへのタンパク質集積が促進される2023

    • Author(s)
      一ノ瀬聡太郎、鈴木美博、海老原瑞穂、岩﨑広英
    • Organizer
      第46回 日本神経科学会大会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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