2023 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of a novel calcium signaling pathway that suppresses obesity
Project/Area Number |
22K06834
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
西谷 友重 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50393244)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | カルシウムシグナル / 肥満 / エネルギー代謝 / 運動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は心筋梗塞や脳卒中など命にも関わる疾患の原因となり得るため、制御機構の解明は必須である。近年、細胞内Ca2+シグナルと肥満調節との関連が示唆されている。申請者らは、細胞内Ca2+シグナル調節因子であるNCS-1(Neuronal Ca2+ Sensor-1)の全身欠損(KO)マウスの解析から、①KOマウスが顕著な肥満に陥ること、②その原因として、ミトコンドリア機能不全を伴う全身エネルギー代謝が低下していること、③NCS-1が褐色脂肪組織及び白色脂肪組織にも発現していることを見出している。しかし、、NCS-1によるエネルギー代謝調節機構とCa2+シグナルとの関連、褐色、白色脂肪におけるNCS-1の肥満制御における役割と標的因子、さらに治療法については全く不明である。本研究の目的は、エネルギー代謝調節に関わるNCS-1の標的分子同定を含め、Ca2+シグナルとの関連を解析し、NCS-1を介する新規肥満抑制経路および治療法を明らかにすることである。 これまでの研究で、NCS-1を介したエネルギー代謝関連シグナルを褐色及び白色脂肪組織で明らかにするため、NCS-1欠損(KO)および野生型(WT)マウスの両脂肪組織を用いて網羅的な生化学的解析を行い、どの代謝産物が増減しているか明らかにした。また細胞内 Ca2+に関連する各種代謝シグナルに関し、リン酸化の程度や発現量などをWestern blotで確認し、関連シグナルが明らかになりつつある。 有酸素運動の効果を検討し、KOマウスでも運動療法により肥満が軽減することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までにNCS-1が褐色及び白色脂肪組織に発現していることを明らかにし、本年度はこれら組織を用いて、KOマウスでどのような代謝産物が増減しているか、メタボローム解析を用いて明らかにした。また、Ca2+シグナルとの関連を解析したところ、褐色脂肪組織におけるCa2+依存性ミトコンドリア生合成シグナルにNCS-1が関与していることを明らかにした。さらに、有酸素運動によって、NCS-1欠損による肥満が解消されることを見出した。これは運動が、ミトコンドリア生合成を上昇させることに起因すると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
NCS-1は脳神経系をはじめとした様々な臓器に発現していることから、部位特異的な役割がわかりにくい。これを解決するため、現在、部位特異的KOマウスのもととなるFloxマウスを作製中である。今後は、褐色脂肪組織や脳、心臓などにそれぞれ特異的に発現するCreマウスと掛け合わせ、NCS-1の臓器特異的な役割を明らかにしていきたい。
|
Causes of Carryover |
一昨年度にコロナ禍により、実験があまりできず、100万円の繰り越しがでた。昨年度は実験は通常通り行ったが、別の研究で共通の細胞や試薬などを用いたため、動物使用数、試薬代などが減ったため、物品にかかる費用は抑えられた。また昨年度は、運動療法などあまり費用の掛からない実験を行ったため、費用が掛からなかった点も挙げられる。来年はRNAseqなど、費用のかかる生化学的解析、論文掲載費などに充てたい。
|