2022 Fiscal Year Research-status Report
カルモジュリンに制御されるCav1.2チャネルの2つの不活性化機構
Project/Area Number |
22K06845
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
蓑部 悦子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00448581)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | Cav1.2チャネル / カルモジュリン / 不活性化 / パッチクランプ / カルシウム / inside-out |
Outline of Annual Research Achievements |
Cav1.2チャネルの活性調節には、細胞内Ca2+センサー蛋白であるカルモジュリンが不可欠である。本研究では、カルモジュリンによるCav1.2チャネルの不活性化機構を明らかにするために、結合実験と電気生理学実験を行った。Cav1.2チャネルの不活性化については、さまざまなモデルが報告されており、統一した見解に至っていないのが現状である。我々は、Cav1.2チャネルのカルボキシル末端部(C末端部)に2分子のカルモジュリンが同時に結合し、チャネルを不活性化するという新規のモデルを提唱し、検証してきた。これまでに、Cav1.2チャネルのC末端部ペプチドに2分子のカルモジュリンが結合すること、チャネルのアミノ末端部(N末端部)を除いたチャネルでは、Ca2+依存性の不活性化が消失し、カルモジュリン濃度依存性の不活性化に影響はないことが示された。これらの結果は、Cav1.2チャネルの不活性化に、カルモジュリンがチャネルのN末端部とC末端部を架橋する様式と、チャネルC末端部に2分子のカルモジュリンが結合する様式の2つがあることを示唆する。 本研究では、さらにチャネルC末端部のカルモジュリン結合の責任部位と予想される部位にアミノ酸変異を導入し、それらのペプチドとカルモジュリンの結合実験と、チャネル変異体の不活性化を電気生理学実験で検討した。C末端部のカルモジュリン結合部位は、preIQとIQドメインがある。結果から、preIQとIQドメインへのカルモジュリンの結合はどちらもチャネルのCa2+依存性不活性化に必要であり、カルモジュリン濃度依存性の不活性化の責任部位はIQであることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた結合実験のデータが取得でき、電気生理学実験も順調に進行している。しかし、一部のチャネル変異体の培養細胞での発現が確認されず、その原因を究明中である。また、増幅装置の動作が不安定であり、対応できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、発現に問題があるチャネル変異体のプラスミドの確認を行う。ベクターの載せ替えなどを考える。この問題が解決した後、必要なデータを取得し、研究結果を論文にまとめ、雑誌への投稿に向け準備をすすめる。
|
Causes of Carryover |
電気生理学実験用の増幅装置が老朽化し、動作が不安定であったため、新規購入を予定していたが、当面の修復が可能となり、その予算が未使用となった。当該機器の状態次第では、再度、購入を検討する予定である。
|