2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜-ミトコンドリアCa2+輸送連関による褐色脂肪細胞熱産生制御機構の解明
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22K06852
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
喜多 知 福岡大学, 医学部, 講師 (50797107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 隆宏 福岡大学, 医学部, 教授 (20300973) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / NCX |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は生活習慣病の発症に大きく影響することが知られており、早急な肥満対策が社会的に求められている。寒冷環境下では交感神経活動が高まり、褐色脂肪細胞のβ3受容体が活性化され、ミトコンドリアのUCP1発現が上昇することで、体温が下がりすぎないように熱産生が起こる。このUCP1の発現上昇には、細胞膜に局在する非選択的陽イオン透過性チャネルであるTRPV2を介するCa2+動員が関与することが報告されている。また、細胞膜にはNa+/Ca2+交換輸送体(NCX)が存在している。NCXは通常、Na+濃度依存性に細胞内Ca2+を細胞外へ汲み出す役割を担っているが、細胞内Na+が蓄積する特殊な状況下では、細胞外Ca2+を逆に流入させることが知られている。一方、UCP1を発現するミトコンドリアはATP産生器官であり、アポトーシス誘導や活性酸素種の産生、またCa2+貯蔵などの多様な機能を担っている。ミトコンドリア内Ca2+濃度は細胞質Ca2+動態と密接に関与しており、細胞質からミトコンドリアへCa2+を流入するミトコンドリアCa2+単輸送体(MCU)と、ミトコンドリアからCa2+を排出するNa+/Ca2+交換輸送体(NCLX)によって制御されている。しかし、褐色脂肪細胞熱産生に関わるCa2+シグナル機序について、上流の「受容体-チャネル機能連関」の研究は進んでいるが、その下流の「細胞膜-ミトコンドリアCa2+輸送連関」の研究は立ち遅れており、未解明の領域となっている。そこで本研究では、ミトコンドリアMCU/NCLX遺伝子欠損マウスを駆使したin vivo/in vitro実験により、褐色脂肪細胞熱産生に関わるCa2+シグナル機序の全容解明を目指す。 現在、全身性のMCU欠損マウスおよびNCLX欠損マウスにおける低温曝露時の体温維持機能を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り、褐色脂肪細胞熱産生における細胞膜-ミトコンドリアCa2+輸送連関の解明を目的とし、当研究室にて飼養されている全身性MCUホモ欠損マウスおよび全身性NCLXホモ欠損マウスにおける低温曝露時の体温維持機能を現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上記のマウスの褐色脂肪細胞における熱産生関連遺伝子の発現解析を実施する。同時に、初代培養褐色脂肪細胞を調製し、ミトコンドリア―細胞質におけるCa2+濃度変化を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度中に納入予定であった試薬に一部遅れが生じ、次年度における納入となったため。
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