2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K06867
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
木村 徹 杏林大学, 医学部, 講師 (30433725)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アミノ酸トランスポーター / 多発性嚢胞腎 / 肝嚢胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノ酸は生体にとって必要な栄養素であるが、特に必須アミノ酸の1つであるロイシンは、細胞増殖のシグナル伝達に重要な役割を果たしている。細胞内に流入したロイシンは、mTOR系を活性化し、細胞増殖を増加させる。申請者らは、腎臓における嚢胞形成が特徴である常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)やそのモデルマウスにおいて、腎嚢胞形成部位にこのアミノ酸トランスポーターLAT1が高発現することを見出した。さらに、ADPKDモデルマウスにロイシンを含むBCAA 分岐鎖アミノ酸を投与すると、腎嚢胞の形成が促進されることを報告した。 ADPKD患者は腎嚢胞だけでなく肝嚢胞を併発する場合が多く、ADPKDモデルマウスにおいても肝嚢胞を形成する。この肝嚢胞の形成は、腎嚢胞と同様にBCAA投与で悪化するが、肝嚢胞にLAT1の発現は見られなかった。BCAA投与により肝嚢胞も悪化することから、ある種のアミノ酸輸送体が関与するはずである。さらに解析を進めた所、多くのアミノ酸輸送体と共有結合を形成し、その細胞膜表面での機能発現を補助する4F2hcの発現が確認できた。4F2hcはLAT1のみならず、LAT2, y+LAT1, y+LAT2, Asc-1, xCTといったアミノ酸輸送体の補助サブユニットとして働く。そこで、これらアミノ酸輸送体の抗体を用いて免疫染色を行ったところ、嚢胞に発現する輸送体をいくつか同定できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学を異動した。それに伴い、実験サンプルや実験器具等の移動があったため、研究をしばらくの間中断してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
正常の肝組織では、4F2hcの発現はごく僅かであり、またすでに発現が確認されている輸送体も通常では発現していない。したがって、それらの発現誘導に関わる転写因子が存在するはずである。これまでの報告で、他のアミノ酸輸送体の発現調節に関わるとされるGCN2、ATF4、eIF2αを中心として、RT-PCRや免疫染色によって嚢胞部位に発現が見られる転写因子を同定する。
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Causes of Carryover |
大学を異動した。それに伴い、実験サンプルや実験器具等の移動のため、しばらくの間研究を中断した。 次年度にRT-PCR用の消耗品や組織染色用の抗体・染色キットなどの物品費として使用予定である。
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