2022 Fiscal Year Research-status Report
生理活性脂質リゾホスファチジン酸によるリンパ管新生の分子機構と病態制御機能
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22K06877
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
安田 大恭 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (70594951)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / リンパ管新生 / LPA4 / LPA6 / リンパ管内皮細胞 / Gタンパク質共役型受容体 / LPA |
Outline of Annual Research Achievements |
リゾホスファチジン酸 (LPA) は血液やリンパ液中に存在して多彩な機能を発揮する生理活性脂質であり、特異的受容体として6種類のGタンパク質共役型受容体(LPA1~LPA6) が報告されている。 我々はこれまでに、血管内皮細胞に発現するLPA4とLPA6が協調して胎生期および新生仔期の血管新生に機能することを分子機構とともに明らかにしてきた (Yasuda et al., J. Clin. Invest., 2019)。一方、血管新生に次いで起こるリンパ管新生においてもLPAが重要であることは示唆されているが (Sumida et al., Blood, 2010)、その生体内における役割や分子機構はよくわかっていない。今回我々はリンパ管内皮細胞 (LEC) に発現するLPA受容体のリンパ管新生における機能とその分子機構の解明を目的に研究を行った。 Prox1-CreマウスとLPA4/LPA6-floxマウスを交配させることにより、LEC特異的にLPA4/LPA6を二重欠損させたマウス (LEC-DKOマウス) を樹立した。そのLEC-DKOマウスは胎生後期に重篤な浮腫を呈し、ほぼ全てが胎生致死となった。LEC-DKOマウス胎仔の皮膚におけるリンパ管新生はコントロールマウスと比較して著しく損なわれていた。また、ヒトおよびマウスの肺由来LECにおいて、LPAはLPA4/LPA6-G12/G13タンパク質活性化のシグナル下流で、幾つかのリンパ管新生因子の発現を制御していた。本研究の成果は生化学会とJVBMO学会に招待されて発表を行った。今後はより詳細な分子機構を解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lpa4/Lpa6リンパ管内皮細胞特異的ノックアウトマウスやリンパ管内皮細胞を用いた解析により、LPA4とLPA6を介したLPAシグナルがリンパ管新生に重要であることを示すデータが幾つか得られたため。これらの成果は2つの学会で発表することができた。また、網羅的発現解析を目指す共同研究も進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きリンパ管内皮細胞特異的ノックアウトマウスやリンパ管内皮細胞を用いた解析を進めて、より詳細な生体におけるリンパ管新生異常の表現型やリンパ管新生を促す分子機構の解明を行う。また、リンパ管関連疾患との関わりをタモキシフェン誘導のリンパ管内皮細胞特異的なLpa4/Lpa6ノックアウトマウスを用いて検証する。
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Causes of Carryover |
わずかな端数が生じたため。
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