2022 Fiscal Year Research-status Report
ライフステージに伴う血小板・巨核球造血微小環境の時空間的変遷の解明
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22K06881
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 彰吾 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (60722626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築地 長治 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20710362)
鈴木 伸明 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70637686)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨髄 / 微小環境 / 巨核球 |
Outline of Annual Research Achievements |
ライフステージの推移に伴う骨髄PDPN陽性間質細胞の骨髄内挙動解析を実施するために、1週齢~8週齢野生型マウスの骨髄を対象として、免疫組織化学染色でPDPN陽性細胞の出現タイミングおよび組織内分布を検討した。今回、大腿骨骨幹(Diaphysis)を対象に観察を行ったところ、PDPN陽性間質細胞は個体差はあるものの、2週齢(生後14日)前後に骨膜から皮質骨を貫通する血管を辿って骨髄内に侵入し、その後、血管周囲に分布することが明らかになった。 骨髄PDPN陽性間質細胞のライフステージの推移による骨髄造血微小環境形成メカニズムを探索するために、特定の組織・細胞を時空間的制御のもとに遺伝子組換えを行い、細胞の追跡やdepletionを行う必要がある。そこで、本研究では青色LED光を照射した局所にのみ遺伝子組換えができる光スイッチ型Cre発現マウス(PA-Creマウス)を用いることにした。現在、PA-Creマウスの導入まで進んでおり、PA-Creマウスの骨髄内組織への遺伝子組換えの適応の検討を行っている。具体的には、PA-CreマウスとCre依存的EGFP発現マウスの交配で青色LED光励起性EGFP発現マウスを作出し、大腿骨に骨の外側から青色LED光を照射し、照射部位と非照射部位の骨髄内EGFP発現を検討する。青色LED励起によるEGFPの発現は免疫組織化学染色で局所的な組織観察で行い、骨髄内部への青色LED光の到達度を組織構造も併せて検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDPN陽性間質細胞のLineage tracingの前に、野生型マウスを用いたPDPN陽性間質細胞のライフステージに伴う骨髄内分布を検討し、その概要を把握するに至った。また、当初の予定とは異なるが、当初の研究目的により合致する光スイッチ型Cre発現マウスを導入し、その適応評価に着手できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ライフステージの推移に伴う骨髄PDPN陽性間質細胞の骨髄内挙動解析については、今後は骨髄へのPDPN陽性間質細胞の侵入経路をより詳細に検討し、PDPN陽性間質細胞が骨髄内に侵入するメカニズムや骨髄発生・組織構造維持に関わる生理学的意義を解明するための知見を得る。特に骨膜から血管を介して骨髄内に侵入するタイミング(マウスの日齢もしくは体重)などを明らかにし、個体の成長にともなう骨髄環境の変化の把握に資する知見を得る。 骨髄PDPN陽性間質細胞のlineage tracingは当初計画のSOX9-Creマウスなどを用いるが、現状、骨髄間質細胞にコミットする「骨格系幹細胞」を特異的に定義する分子マーカーがはっきりとしておらず、用いるCre発現マウスは詳細に吟味する必要がある。文献的調査を含めて慎重に進めていきたい。 骨髄PDPN陽性間質細胞の骨髄発生および造血環境形成メカニズムの解明は、光スイッチ型Cre発現マウスを応用し、PDPN陽性間質細胞のdepletionで検討する。現在進めている骨髄間質細胞に対する光スイッチ型Cre発現マウスの有効性を確認した後には、光スイッチ型Cre発現マウスと、PDPN floxed/floxedマウスやPDPN陽性間質細胞にCre依存的にジフテリアトキシン受容体を発現させるマウスを交配し、PDPN cKOおよびPDPN陽性細胞depletionマウスを作製する。これらのマウスの骨髄造血能(特に血小板・巨核球造血)の変化をライフステージに沿って検討する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動により研究開始が遅れたこと、そして、当初予定よりも研究目的を達成するためにより適切な方法を見出すことができ、その準備に取り掛かったため。 翌年度使用額として繰り越した分は翌年度に実施する研究計画の試薬などに充当し、研究目的を達成するための実験に使用する。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Periosteum-derived podoplanin-expressing stromal cells populate the epiphyseal bone marrow2022
Author(s)
Yumi Katsuragi, Shogo Tamura, Masato Mukaidea&, Wataru Fujii, Koya Odaira, Nobuaki Suzuki, Nagaharu Tsukiji, Shuichi Okamoto, Atsuo Suzuki, Takeshi Kanematsu, Akira Katsumi, Akira Takagi, Katsue Suzuki-Inoue, Tadashi Matsushita, Tetsuhito Kojima, Fumihiko Hayakawa
Organizer
第84回日本血液学会学術集会
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