2023 Fiscal Year Research-status Report
ライフステージに伴う血小板・巨核球造血微小環境の時空間的変遷の解明
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22K06881
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 彰吾 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (60722626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築地 長治 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20710362)
鈴木 伸明 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70637686)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨髄 / 微小環境 / 巨核球 / 骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
ライフステージの推移に伴う骨髄PDPN陽性間質細胞の骨髄内挙動解析を実施するために、1週齢~8週齢野生型マウスの骨髄を対象として、免疫組織化学染色でPDPN陽性細胞の出現タイミングおよび組織内分布を検討した。大腿骨骨幹(Diaphysis)骨髄の細動脈周囲に存在するPDPN陽性間質細胞は、個体差はあるものの2週齢(生後14日)前後に細動脈周囲に現れることが明らかになった。細動脈周囲PDPN陽性間質細胞の出現メカニズムは現在解析中である。次に、早期ライフステージの大腿骨を経時的に観察したところ、PDPN陽性間質細胞は骨髄の細動脈だけではなく、生後マウス骨幹部の皮質骨に多数存在していることを発見した。骨幹皮質骨に存在するPDPN陽性間質細胞は個体の成熟とともに皮質骨内から消失していくことがわかり、さらにこれらのPDPN陽性間質細胞は骨芽細胞系統で陽性になるオステリックスを発現していることがわかった。また、PDPN陽性間質細胞は骨膜と一部の骨内膜上にも存在していることが明らかになった。骨梁などから構成されるMetaphysisでは、PDPN陽性間質細胞は未熟なmetaphysis領域に存在し、骨髄・大腿骨の発達とともに骨梁が形成されると、PDPN陽性間質細胞は骨梁に沿った領域に局在することが明らかになった。これらの結果から、生後直後の骨幹皮質骨に存在しているPDPN陽性間質細胞は、骨の形成・成熟に関連した機能を持ち、骨の成熟とともに消失していくものと考えられた。 今後、PDPN陽性間質細胞を標的にした遺伝子組換えマウスを導入することで、PDPN陽性間質視細胞の骨髄環境および骨発達に対する病態生理学的意義を解明していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個体のライフステージによる大腿骨骨髄の成熟の理解を深め、PDPN陽性間質細胞の新しい組織内局在と機能を見出すに至った。これは当初想定していたPDPN陽性間質細胞の特性を超える新規知見であり、現在論文化を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで出生後マウスを対象に大腿骨骨髄の形成と成熟に関連したPDPN陽性間質細胞の局在を観察してきた。今後は、これまでに得た知見をもとにPDPN陽性間質細胞の出現メカニズムと、PDPN陽性間質細胞が構築する組織内環境形成のメカニズムの探索を行う。 次に、これまでに得た新知見の一つである骨幹皮質骨内のPDPN陽性間質細胞の生理的機能をより深く探索する。PDPN陽性間質細胞を遺伝子組み換え技術で操作し、骨形成にどの様な影響を与えるか検討を進める。 また、先述の通りこれまでは出生後マウスを対象にPDPN陽性間質細胞の骨・骨髄局在と機能を解析してきたが、これからは胎生期の骨・骨髄発生も対象に解析を進める。これにより、広く早期ライフステージに生じる骨・骨髄発生・形成・成熟に対するPDPN陽性間質細胞の関与を解析することが可能となり、その病態生理学的意義の解明および組織・臓器発生・形成・成熟のメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究の進捗で新たな現象を発見し、当初予定していた遺伝子組換えマウスの導入を行わなかったため。
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Research Products
(12 results)