2022 Fiscal Year Research-status Report
軸索変性誘導分子SARM1の活性・分解制御によるパーキンソン病治療法の開発
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22K06884
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村田 等 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (90579096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70379840)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | SARM1 / 軸索変性 / NAD / パーキンソン病 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞のエネルギー代謝に重要なNADを消費し、神経軸索変性を惹き起こすSARM1の活性・分解制御に関する研究を行っている。当該年度は独自の化合物スクリーニングから見出したSARM1阻害化合物(化合物X)を用いて解析を行った。化合物Xはin vitroでSARM1のNAD分解活性を顕著に抑制した。ヒトiPS細胞から分化誘導した神経細胞に対してパーキンソン病様の症状を誘発することが知られているロテノンを添加すると、神経突起分解や細胞死が誘導される。ここに化合物Xを添加すると、ロテノン曝露によって誘導されるNADやATPの減少が抑制され、神経突起分解や細胞死の割合も大幅に減少した。またSARM1の発現を抑制した神経細胞においても同様の結果を得ることができた。 SARM1はある環境下におくと、細胞内で分解されていくことを見出した。当該年度はこの分解に関与するSARM1内のアミノ酸配列を特定するために、種々のSARM1変異体発現ベクターを構築し解析を行った。現在、SARM1分解に関与するドメイン候補を見つけており、更にドメイン内のアミノ酸配列の絞り込みを行っている段階である。引き続き解析を続け、SARM1分解に重要なアミノ酸配列および分解酵素の特定につなげたい。 SARM1阻害によるパーキンソン病の治療効果を確認するために、ロテノン投与パーキンソン病モデルマウスを用いた解析を行っている。当該年度は化合物Xの投与条件を検討しており、腹腔内投与や経口投与を行い、マウスの状態を確認している。投与条件を定め、ロテノンによって誘導される神経変性に対するSARM1阻害効果の影響を解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SARM1の発現抑制や阻害化合物を用いた検討でロテノン誘導性の神経突起分解や細胞死が抑制されたことから、SARM1の標的妥当性を検証することができた。またSARM1の分解誘導に関わるドメインおよびアミノ酸配列の絞り込みも進んでいる。パーキンソン病モデルマウスを用いた解析の準備もできており、来年度から解析を進めていくことができる。 以上、当該年度に予定していた計画を行うことができたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
SARM1の分解誘導に重要なアミノ酸配列の特定を行い、その部位に変異を入れたSARM1変異体を作製する。タンパク質の安定性や活性変化について野生型SARM1との比較を行う。SARM1の分解誘導に関わる酵素の特定を試み、過剰発現や発現抑制実験を通じてSARM1の分解誘導機構の詳細や意義について更なる検討を行う。 ロテノン投与パーキンソン病モデルマウスに対してSARM1阻害化合物の投与を行い、行動解析や黒質線条体路ドーパミン神経の免疫染色等によって、SARM1阻害によるパーキンソン病の治療効果を検証していく。
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Causes of Carryover |
SARM1変異体発現ベクターの構築数が予定よりも少なく済んだので、次年度使用額が生じた。使用計画としてはSARM1の分解酵素特定のための抗体購入費用として使用する予定である。
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