2023 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質分解機構GOMEDの分子機構および神経変性疾患の病態メカニズムの解明
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22K06909
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山口 啓史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 非常勤講師 (50644241)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | タンパク分解 / 神経変性 / ゴルジ体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Golgi-membrane-associated degradation pathway (GOMED)は、ゴルジ体から細胞外や細胞膜に輸送されるタンパク質の運搬が障害されたときに、行き場を失ったタンパク質が分解される機構であり、生理的に重要な役割を担っている。申請者は、このGOMED実行分子として、Wipi3の同定に成功した。さらに、Wipi3欠損 マウスは、鉄沈着を伴う神経変性疾患を示すことを見出したが、ヒトにおいてもWipi3遺伝子変異によって鉄沈着を伴う神経変性疾患を発症する。このことから、GOMEDが生体内において重要な生理的機能を有していることを示している。これまでに、(1) Wipi3がGOMED誘導時に脱リン酸化制御を受けること、(2) Wipi3リン酸化ミミック、脱リン酸化ミミック体をWipi3欠損細胞に導入した結果、Wipi3リン酸化ミミックでは、GOMEDの誘導が回復されなかったが、Wipi3脱リン酸化ミミックでは、GOEMDの誘導が回復された。これらの結果から、この脱リン酸化がGOMED実行に必要であることを見出した。また、(3) このWipi3脱リン酸 化に関与する脱リン酸化酵素を同定することができきた。さらに、(4) この脱リン酸化酵素を欠損すると、GOMED誘導が抑制され、また、この脱リン酸化酵素と Wipi3との相互作用も確認できた。このことから、この脱リン酸化酵素によるWipi3の脱リン酸化制御がGOMED誘導に必須であることが分かった。一方、(5) この脱リン酸化酵素の活性を抑制するタンパク質も同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請では、(1) Wipi3脱リン酸化に関与する脱リン酸化酵素を同定し、そのGOMEDの活性化・不活性化への影響を検証する、さらに(2) 膵b細胞や神経細胞に与える影響を検証し、(3) 神経変性症状を改善できる低分子化合物を開発することを目指している。(1)に関しては、脱リン酸化酵素の同定に成功し、Wipi3との相互作用も明らかにでき、概ね予定通り研究は進行している。(2)については、より詳細な検討を加えるため、マウスレベルでの実験を行う必要がある。Wipi3リン 酸化ミミック、脱リン酸化ミミックマウスの作製に着手し、表現型を解析中である。(3)については、低分子化合物ライブラリーに対し、Wipi3脱リン酸化、リン酸化を指標に、スクリーニングを行っており、順調に実験が進めば、in vitroおよびin vivoでの低分子化合物の同定が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)Wipi3の脱リン酸化制御に関しては、脱リン酸化酵素の同定に成功しており、またWipi3との上限関係も構築できた。しかし、GOMED誘導刺激から、脱リン酸化酵素まてでのシグナル伝達機構はまだ不明の部分が多いためて、構築予定である。(2)に関しては、Wipi3リン酸化ミミック、脱リン酸化ミミックマウスを作製し、 Wipi3欠損において見られたような表現型がどう変化するのか、小脳および膵b細胞において解析中である。(3)に関しては、低分子化合物ライブラリーに対し、Wipi3 脱リン酸化、リン酸化を指標に、スクリーニングを行っており、順調に実験が進めば、in vitroおよびin vivoでの低分子化合物の同定が可能である。最終的にその低分子化合物のin vivo, in vitroにおけるGOMED誘導能を評価する予定である。
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Research Products
(2 results)