2022 Fiscal Year Research-status Report
深在性真菌症のFFPE組織を用いた分子形態学的な同定および解析方法の確立
Project/Area Number |
22K06944
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
青山 智志 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50737781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高澤 啓 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (00593021)
山本 聡 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10588479)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 深在性真菌症 / FFPE組織 / 超微細構造 / 真菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
深在性真菌症は致死的な経過をたどるが、微生物検査での真菌の検出率は50%以下と低い。また、病理組織診断での真菌の同定は形態診断にとどまっており、患者の適切な治療導入に対応できていない。申請者は、原因不明の肺炎で死亡し、病理解剖で深在性真菌症の診断となった症例を経験した。超微細構造観察と菌叢解析の結果、病巣では複数の真菌により真菌叢を形成していた。以上のような背景から、深在性真菌症の同定・解析手法の確立を通して、病態理解を深め、治療成績を向上させたいと考え、本研究を想起した。本研究課題達成のため、深在性真菌症のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を用いて、①走査型電子顕微鏡(SEM)による真菌の超微細構造の観察・同定、②抽出DNAを用いたシークエンス法による同定および、③次世代シーケンサーを用いた真菌叢解析(メタゲノム解析)、④真菌由来抽出タンパク質を用いたプロテオーム解析を行う。本研究は、深在性真菌症を、非培養的、多層的、網羅的に解析し、その病態を明らかにすることで、適切な治療法選択、新たな治療戦略創出への寄与を目指す。 これまでに、深在性真菌症の解剖症例を用いて、FFPE組織からSEM観察標本の条件検討を実施した。FFPE組織から、様々な厚さの薄切標本を作成し、様々な標本作成条件を試み、SEM観察標本を作成した。SEM S-4300 (HITACHI), TM4000Plus (HITACHI)を用いて、観察を行い、アスペルギルス、カンジダの菌体観察に成功した。立体構造観察には、厚さ15-30umが適していた。また、アスペルギルスニガー感染症例で、シュウ酸カルシウム結晶を多数沈着している領域で、SEM-EDSを用いた、二次元元素マッピングを行ったところ、カルシウムの分布が、結晶沈着と一致して観察され、SEM-EDSの有用性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FFPE組織から、様々な厚さの薄切標本を作成し、様々な標本作成条件を試み、SEM観察標本を作成した。これまでに、SEM S-4300 (HITACHI), TM4000Plus (HITACHI)を用いて、観察を行い、アスペルギルス、カンジダの菌体観察に成功している。菌体の立体構造観察には、厚さ15-30µmが適していた。また、アスペルギルスニガー感染症例で、シュウ酸カルシウム結晶を多数沈着している領域で、SEM-EDSを用いた、二次元元素マッピングを行ったところ、カルシウムの分布が、結晶沈着と一致して観察され、SEM-EDSの有用性が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、菌体が確認されたFFPE組織から、DNA抽出を行っている。これまでの検討で、自動抽出装置では回収率が低いことから、現在、キットを用いた用手での抽出方法を採用し、検討を行っている。今後、真菌のIST1領域をターゲットにした、PCRによる増幅を確認し、それらのサンプルについて、メタゲノム解析を行う。
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Causes of Carryover |
DNA抽出のための条件検討に時間を要しており、多症例を用いたDNA抽出には至らず、また、それ以降の実験を行っていない。そのため、次年度使用額が生じることになった。次年度は、本年度実施できなかった実験を合わせて施行する予定である。
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Research Products
(9 results)