2022 Fiscal Year Research-status Report
Search for new biomarkers to assess cardiotoxicity: integrated analysis in autopsy heart
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22K06956
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
吉田 誠 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (70637553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 大地 金沢大学, 医学系, 教授 (30585500)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ゲノム解析 / 心毒性 / 心筋細胞障害 / 腫瘍循環器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、病理解剖で採取された左室心筋凍結検体を用いて、RNA-seq解析およびプロテオーム解析を施行し、抗腫瘍薬投与下での心機能正常例と左室収縮能低下症例の比較を行うことで、薬剤の影響による心筋収縮能低下に伴って発現が変動する遺伝子やタンパク質を同定することを第一の目標とする。さらに、それらの遺伝子やタンパク質に関して、心筋組織でのRT-PCRやウエスタンブロット、免疫組織化学染色などで評価・検討し、心筋生検で心毒性の有無を評価できる免疫組織化学マーカーを確立する。初年度はRNA-seqを行って、解析結果を得た。抗腫瘍薬によって心機能が低下した例と、心機能が保たれた例で、どのような違いがあったのかを今後、膨大なデータから明らかにしていく。それによって心毒性と関連する蛋白の同定や、逆に心毒性をうけにくい遺伝子の発現、心保護作用のある蛋白の同定なども視野に入れて解析を行っていく。抗腫瘍薬は心臓にとってこれ以上ない化学的な心負荷である。心毒性という副作用の機序を明らかにすることによって、心毒性をきたす過程で重要な役割を担う蛋白や遺伝子発現が明らかになる。それらの蛋白は通常時の心臓の細胞活動のなかで、今まで知られていない役割を担っている可能性がある。すでに取得した膨大な遺伝子発現解析データの中に、その答えは含まれている。心毒性機序を明らかにすることは心保護の作用を知る上で非常に重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年以降に蓄積してきた病理解剖例の凍結左室心筋サンプルの中から、①心機能正常群(Control群)10例、②心機能低下抗腫瘍薬非投与群(心不全群)10例、③心機能正常抗腫瘍薬非投与群(一般癌患者群)10例、④心機能低下抗腫瘍薬投与群(心毒性群)約5例を選定した。 各症例の凍結左室心筋サンプルからRNAを抽出。ノボジーン社の次世代シークエンスを発注し、RNA-seq解析を行った。膨大な解析データ(およそ800Gバイト)を受け取り、申請者と共同研究者の前田教授ら共同で結果の解析を行っている。申請書の計画通り、概ね順調に進んでいる
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-Seq解析結果から活性の上がっている遺伝子を同定し、関連する蛋白のプロテオーム解析を行う予定。心筋細胞障害と関連する因子の同定を行う。申請時は腫瘍の解析ではなく、細胞増殖していない心筋細胞の解析であるため、シークエンスの解析データは限定的になると見込んでいた。しかしRNA-Seq結果が予想以上に膨大(およそ800Gバイト)であり、心筋細胞の細胞機能や細胞活性の深淵さが伺われた。今後シークエンス結果の解析にも解析ソフトウェアの使用することを考慮して、効率的に関連遺伝子の選定する予定。
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Causes of Carryover |
遺伝子解析の外注の代金が予想よりも安価であったため、残金が生じた。これらの残金は次年度に新たに解析症例を追加する際に使用する予定である。
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