2022 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺濾胞パターン腫瘍のゲノム・エピゲノム変動に基づく層別化診断の確立
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22K06958
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
近藤 哲夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30334858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 邦夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10377583)
大石 直輝 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90623661)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / 人体病理学 / 分子病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム・エピゲノム変動とは特定の甲状腺腫瘍型にみられる染色体・遺伝子異常、エピゲノム変化がどのようなメカニズムで誘導され、その選択によってどのような結果(組織・細胞の形態学的変化、臨床病理像の特徴化)を生じるかという根本的な課題である。濾胞上皮由来甲状腺腫瘍の主要なドライバー変異にはRET遺伝子再構成、NTRK遺伝子再構成、BRAF異、RAS変異があるが、これら遺伝子変異の選択により腫瘍細胞に乳頭癌共通の組織・細胞形態に変化をもたらす機序は不明である。一方で乳頭癌と濾胞癌にはRAS変異が共通の遺伝異常として存在するが、同じ遺伝子異常を有する濾胞上皮腫瘍が異なる核形態を示す原因についても解っていない。ゲノム・エピゲノム変動は病理組織標本、細胞診標本上の形態変化のみでなく、患者予後を含めた臨床病態にも大きな影響を与える。乳頭癌や濾胞癌の一部は低分化癌、未分化癌に進行する。これはRAS 変異、BRAF 変異の甲状腺癌に限定されており、RET 遺伝子再構成の乳頭癌、PPARG 遺伝子再構成の濾胞癌では未分化癌には転化せずプログレッションの過程で行き止まり(Dead End)となる。しかし、新たに提唱された境界悪性病変と関連する甲状腺濾胞パターン腫瘍についてはその病態病理とゲノム・エピゲノムのプロファイルは十分に解明がされていない。例として挙げるとNIFTP の前駆病変は濾胞腺腫であるのか、NIFTP は乳頭癌やさらにhigh grade な甲状腺腫瘍にまでがん進化するのかは全く不明な状況である(左図)。以上より、本研究では組織・細胞形態プロファイルとゲノム・エピゲノムプロファイルに基づいて1)甲状腺境界悪性病変を含む甲状腺濾胞パターン腫瘍の病態解析、2)甲状腺濾胞パターン腫瘍の新たな層別リスク分類の提唱、3)術前診断技術の確立を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は予備研究のデータ分析、試料(甲状腺腫瘍の細胞診検体、手術検体)の収集、病理診断の再評価、臨床情報の収集、個人情報の匿名化措置(インフォームド・コンセントがない場合)、染色体・遺伝子変異解析、蛋白発現解析を行った。予定していたメチル化解析までは到達しなかったので、次年度以降に計画する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は引き続き追加実験を実施する。リスク層別化による濾胞パターン腫瘍の新たな分類の提唱、穿刺吸引細胞診による濾胞パターン腫瘍の術前診断技術の確立を目指す。ゲノム異常、エピゲノム異常と組織型、細胞診所見、臨床経過、臨床病理学因子との関連を解析し甲状腺濾胞パターン腫瘍の病態を明らかにする。プロファイリングによる濾胞パターン腫瘍の分類、患者予後やがん進化の自然経過を予測できるリスク層別化を行う。濾胞パターンの甲状腺腫瘍は細胞診による良悪性の判定が困難なことが多い。プロファイリングに基づき、細胞診により濾胞パターン腫瘍の鑑別に重要な細胞所見を抽出するとともに、補助診断に有用となる遺伝子異常、エピゲノム異常を決定する。本研究で得られた研究成果に基づき、実臨床に展開にさせるべく2025年度以降の新たな研究計画立案を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大により、一部の実験に遅延が生じたため、購入予定であった消耗品の購入を次年度とすることにした。
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Research Products
(2 results)