2022 Fiscal Year Research-status Report
消化管・泌尿器癌における超保存領域T-UCRによる分子機構の解明と腫瘍内多様性
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22K06959
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
仙谷 和弘 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (30508164)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MCM4 / 癌幹細胞 / 細胞診 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、胃癌の癌幹細胞マーカー探索のためにspheroid formation assayを行い、候補分子として同定したminichromosome maintenance 4 (MCM4)の臨床病理学的解析を行った。qRT-PCR法においてMCM4は胃癌の60%、免疫組織化学的には83%に高発現し、T因子やステージの高い症例に有意な相関が見られ、独立した予後不良因子であることもわかった。さらにその発現は既存の癌幹細胞マーカーであるCD133に加えて受容体型チロシンキナーゼのEGFR、c-MET、MMP7とも有意な相関関係にあることを明らかにした。またsiRNAを用いた解析によりその発現がAKT、ERK、EGFRのリン酸化を通じて腫瘍の増殖能を制御することを示し、MCM4が胃癌の進展や癌幹細胞を制御する重要な癌関連分子であることがわかった。 次に、上部尿路(腎盂・尿管)癌におけるMCM4の臨床病理学的解析を行ったところ、MCM4の高発現は124例中77例(62%)に認められた。70歳以上の高齢者や尿管原発に多く見られ、T因子の高い症例や組織学的異型度の強い症例と有意な相関関係が認められ、無増悪生存期間においてMCM4の発現は独立した予後不良因子であった。これらの結果はTCGAのデータセットから得られる結果と同様であった。さらにMCM4の高発現はHER2、EGFR、p53、Ki-67の高発現と有意な相関が見られた。さらに、尿細胞診検体を用いた解析を行い、尿路上皮癌の検出の診断精度は尿細胞診単独で行うよりもMCM4の免疫染色を併用する方が有用であることも明らかにし、実臨床への応用も期待される分子であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに本研究の解析に必要な消化管癌及び泌尿器癌の組織サンプルは十分収集できており、実際にT-UCRs発現解析データに基づく候補の検証を行なっている。本年度に解析したMCM4以外の分子の検討も行なっており、T-UCRsの解析を実際のヒト消化管癌及び泌尿器癌のサンプルを用いてその意義について検証する作業は、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
消化管癌及び泌尿器癌におけるT-UCRの発現と分子機構を解明するため、引き続き本年度と同様の解析を行うとともに、多数の臨床検体を用いた臨床病理学的検討、さらには関連分子の検討などを行い、治療標的分子、血清腫瘍マーカー、鑑別診断マーカー等の開発につなげる予定である。
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Research Products
(18 results)