2023 Fiscal Year Annual Research Report
消化管・泌尿器癌における超保存領域T-UCRによる分子機構の解明と腫瘍内多様性
Project/Area Number |
22K06959
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
仙谷 和弘 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (30508164)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ANXA10 / MUC1 / Mott cell |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、消化管癌と泌尿器癌の発生・進展に関与する新たな分子の臨床病理学的解析を行なった。以前の検討でその発現消失が早期胃癌の予後不良因子であることが明らかとなったAnnexin A10 (ANXA10)は尿路上皮癌において腫瘍のステージ、組織学的グレード、p53の発現と逆相関することを免疫組織化学的に明らかにした。またANXA10はp53と組み合わせることで尿細胞診の診断精度の向上にも寄与することがわかった。次に、多くの癌でその発現が予後不良因子として知られるMUC1は上部尿路上皮癌において約58%に高発現が見られ、形態学的に非乳頭状構築を示すものや組織学的グレードの高い症例に多く、腫瘍のステージが高く脈管侵襲像の見られるもの、予後不良な症例に有意に多く認められることがわかった。さらにその発現はKi-67、PD-L1、CD44v9、HER2、EGFR、p53など多くのがん関連分子との有意な相関が見られ、前述のANXA10と同様、尿細胞診の診断精度の向上にも寄与することがわかった。最後にがんの微小環境に関与する細胞として細胞質内に免疫グロブリンを含有したMott細胞に注目した。胃癌の粘膜内病変に存在するMott細胞はT grade、N grade、腫瘍のステージの低い症例に多く、ヘリコバクターピロリ菌感染と相関することを明らかにした。さらにCD44とEGFRの発現とも逆相関を示し、その存在は独立した予後良好因子であることがわかった。
|
Research Products
(12 results)