2022 Fiscal Year Research-status Report
レチノイン酸特異的代謝酵素CYP26のレチノイン酸非依存性がん悪性化機構の解明
Project/Area Number |
22K06983
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小野 佑輔 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90812355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高澤 啓 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (00593021)
小山内 誠 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60381266)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | レチノイン酸 / ビタミンA / CYP26A1 / がん悪性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
レチノイン酸特異的代謝酵素とされるCytochrome p450 Family 26 Subfamily A Member 1 (CYP26A1)は一部のがん腫で高発現し、がんの悪性化と関わることが報告されている。本研究では、複数の臓器を標的としCYP26A1の臓器横断的ながん悪性化機構の解明を目指している。膵がん、舌扁平上皮がんで外科的切除された症例に対して免疫染色を行い、CYP26A1が高発現する症例があることを明らかとした。また、舌癌では高発現群で有意に予後が悪いことを明らかとした。膵がんにおいては、免疫染色の結果で予後との有意な関連は示されなかったが、TCGAの大規模データセットを用いた解析で、CYP26A1高発現群での有意な予後の悪化が示された。また、CRISPR-Cas9システムを用いて膵がん細胞株、舌がん細胞株いずれにおいてもCYP26A1ノックアウト細胞株を作製した。これらの細胞株ではレチノイン酸投与によって増殖能やコロニー形成能、運動能といったがんの悪性化に関連する機能が低下することが示された。 また、本研究ではレチノイン酸特異的代謝酵素とされてきたCYP26A1がレチノイン酸代謝以外の機能を有する可能性について検討することも目的としている。作製したCYP26A1ノックアウト細胞株を用いて、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析を行った結果、レチノイン酸投与によってノックアウト株で大きな遺伝子やタンパク質発現の変化がおこるが、CYP26A1の発現変化自体でも発現する遺伝子やタンパク質のプロファイルが異なることが示された。このことはCYP26A1にレチノイン酸代謝以外の機能があるという仮説を支持するものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに行っていた乳がん、膵がんの手術材料に加えて、舌扁平上皮がんの手術材料を用いてCYP26A1の免疫染色を行い、評価した。その結果、CYP26A1が高発現を示す症例が存在し、これらでは有意に予後が悪化していることが示された。また、CYP26A1ノックアウト細胞株についても、既に作製している膵がん細胞株に加え、舌がん細胞株でも樹立に成功した。これらの細胞株を用いた各種機能実験を行い、CYP26A1の発現欠損によって、がんの悪性能が抑制されることが示された。これらの膵がん、舌がん細胞株で作製したノックアウト株を用いて、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析を行った。これらの結果からはCYP26A1のノックアウトによってレチノイン酸投与による影響を大きく受けることが示された。それだけではなく、レチノイン酸を投与しない条件下でもCYP26A1の発現の有無そのものによって大きな変化が生じることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は臓器横断的なCYP26A1の機能と、その作用メカニズムの解明のため、膵がん、舌がんに加えて、新たに子宮頚部扁平上皮がんの手術検体を用いた免疫染色を予定している。また、子宮頚部扁平上皮がんの細胞株を用いて、これまでと同様にCYP26A1ノックアウト株を作製して各種機能解析を行う。既に行った膵がん細胞株、舌がん細胞株のトランスクリプトーム解析、プロテオーム解析の結果を分析することで、CYP26A1の下流で作用する分子の候補を検討する。これらの分子の細胞株での発現や機能を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は生じたが、約11万円と予定からの大きな乖離はみられない。人件費を使用しなかったことによる。
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Research Products
(6 results)