2022 Fiscal Year Research-status Report
新規がん遺伝子THG-1の生体機能の解明と分子診断・治療法の開発
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22K06995
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 裕之 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70375509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 齢 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70833565)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | THG-1 / 扁平上皮がん / 炎症 / NRBP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規がん遺伝子THG-1の分子機能を明らかにするため、THG-1発現細胞で転写上昇する遺伝子とTHG-1結合タンパク質との関連について検討を進めた。THG-1を過剰発現する細胞のRNA-seq解析から、THG-1発現細胞ではNF-kBの標的遺伝子(IL-1等)が高発現することを見出した。さらにIL-1はHB-EGF等の増殖因子の転写を促進することも明らかになっており、THG-1により増殖因子と炎症反応の自己充足化が起こる可能性が考えられた。しかしながらTHG-1によりNF-kBが活性化されるかは不明である。THG-1の結合タンパクの一つとして、NRBP1(Nuclear receptor binding protein)が同定されている。我々はNRBP1の結合タンパク質について検討したところ、IL-1によるNF-kB活性化の制御因子であるTRAF6と結合することを見出した。さらにNRBP1はE3ユビキチンリガーゼ活性を持ち、TRAF6のユビキチン化、及び分解を誘導することが明らかになった。THG-1はNRBP1と結合することで、TRAF6のユビキチン化、及び分解を抑制することも明らかになった。THG-1ノックダウン細胞では、TRAF6の減少、及びNF-kBの核移行の減少が認められた。従ってTHG-1はNF-kBの活性化に関わるTRAF6の分解を抑制することで、IL-1-TRAF6-NF-kBの恒常的な活性化に関与することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
THG-1による増殖因子と炎症反応の自己充足化の分子メカニズムを解明する糸口が明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在頭頸部扁平上皮がんの臨床検体を用いて検討を進めており、THG-1発現とNF-kB活性化、及び腫瘍免疫微小環境の関連性について検討を進め、次年度中での論文投稿を予定している。 さらに他の結合タンパク質についても検討を進め、扁平上皮がんの進展におけるTHG-1の役割について検討を進める。
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Research Products
(6 results)