2022 Fiscal Year Research-status Report
感染応答時の宿主遺伝子トリアージにおけるP-bodyの役割
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22K06997
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
瀬戸 絵理 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40431382)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感染応答 / RNA顆粒 / P-body / Trypanosoma cruzi |
Outline of Annual Research Achievements |
Processing body (P-body, PB)は真核生物におけるRNA顆粒(mRNA-蛋白質複合体)のひとつで、mRNA分解などの翻訳制御機能をもつ。これまでの研究で、寄生原虫Trypanosoma cruzi (T.cruzi)の感染初期に宿主細胞でPBの形成が誘導されることを見出だした。本研究では、T.cruzi 感染応答時にPBでの発現制御を受ける宿主遺伝子を同定するため、PBの必須構成蛋白質であるEDC4をノックアウトした細胞株 (EDC4KO)を樹立し、感染細胞のトランスクリプトーム解析を行った。その結果、EDC4KOではコントロールと比較して、炎症性サイトカイン遺伝子の発現や自然免疫関連シグナル経路の活性化が亢進することがわかった。さらに、EDC4KOに野生型EDC4をレスキュー(+EDC4)もしくはPB形成に必須の領域を欠いた変異型EDC4をレスキュー(+mtEDC4)した細胞を用いて、原虫感染によるサイトカイン産生がPB形成依存的に抑制されることを確認した。これらの結果から、原虫がPB形成促進により宿主の自然免疫応答を負に制御して感染を成立させている可能性が考えられた。続いて同定されたターゲット遺伝子がPBへの取り込みにより直接的に制御されているかどうかを調べるため、レスキュー細胞から野生型もしくは変異型EDC4の免疫沈降を行なった。今後、沈降サンプルからRNAを抽出し、ターゲット遺伝子の共沈の有無を定量PCRにより確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、原虫感染によって形成誘導されるPBによって発現制御を受けている宿主遺伝子の同定を目的とした実験を行った。EDC4KO細胞を用いたトランスクリプトーム解析やパスウェイ解析から、宿主感染応答に関わる複数のPBターゲット遺伝子やシグナル経路を同定できたことから、研究計画は概ねスムーズに実行できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
EDC4KO細胞への感染でコントロールと比較して発現が変動した遺伝子について、PBとの共局在を免疫沈降法やin situハイブリダイゼーション法などを用いて調べる。共局在が確認できた場合、PBへの取り込みが感染によって変化するかどうか、感染後経時的に分画したPB画分からRNAを抽出して定量PCR法により調べる。またT. cruziを感染させたEDC4KOへの野生型もしくは変異型EDC4レスキュー細胞から免疫沈降を行い、それぞれのIP画分に濃縮されてくるトランスクリプトームの比較解析から、感染時特異的にPBにリクルートされてくる遺伝子を同定する。
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Causes of Carryover |
ターゲット遺伝子の局在確認実験を年度内に行えなかったため未使用額が生じた。令和5年度の経費の主な用途は消耗品である。その内訳は細胞培養に必要な培地、血清、ディッシュなどのプラスチック製品、ガラス器具、抗体、オリゴ作製費、試薬類である。また研究成果発表のための国内旅費、論文投稿費も使用予定である。
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Research Products
(4 results)