2022 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫疾患マウスモデルにおけるB細胞免疫寛容破綻メカニズムの解析
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22K07030
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 ゆり子 東邦大学, 医学部, 講師 (40396685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野里 磨優 東邦大学, 薬学部, 講師 (50610094)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シェーグレン症候群モデルマウス / 濾胞形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生後早期よりシェーグレン症候群(SS)様病態を呈するSS疾患モデルマウスを用いて、自己反応性T細胞が正常なB細胞を自己抗体産生細胞に分化させるメカニズムを解析した。 血球系細胞特異的に核内転写制御因子SATB1 (Special AT-rich sequence binding protein-1)を欠損するSATB1 cKOマウスをSS疾患モデルとして用いた。SATB1 cKOマウス頸部リンパ節T細胞を分離したのち、C57BL/6 (B6) ヌードマウスに移入した。経時的にヌードマウスにおけるSSの発症を唾液分泌量の測定により解析した。さらに、ヌードマウス頸部リンパ節、唾液腺でのB細胞活性化をフローサイトメトリー、免疫組織染色により解析した。実験に用いたヌードマウス血清を採取し、正常マウス唾液腺組織蛋白質で免疫沈降を行い、高速液体クロマトグラフ-質量分析計(LC-MS/MS)を用いて自己抗原候補分子の探索を行なった。 SATB1 cKOマウス頸部リンパ節T細胞をヌードマウスに移入後、5週目には血清中に自己抗体産生が認められ、経時的に増加した。さらに、T細胞移入後3ヶ月以上経過してもヌードマウスの頸部リンパ節から胚中心B細胞が検出された。病理学的解析では、唾液腺組織内に胚中心様の濾胞形成が確認された。以上の結果よりSSモデルマウスの自己反応性T細胞は、ヌードマウスの正常B細胞を活性化し自己抗体産生細胞へと分化させることが明らかとなった。さらに、自己反応性T細胞を移入したヌードマウスでは、リンパ節のみならずリンパ節以外の組織内でも自己抗体産生B細胞が活性化常態で長期間維持されている可能性が示唆された。LC-MS/MS解析結果から、SS様病態を呈したヌードマウス血清中抗体が結合する蛋白が抽出され、現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SATB1 cKOマウス頸部リンパ節T細胞移入ヌードマウスにおける、シェーグレン症候群(SS)様病態が安定して観察できたことから、組織の解析が順調に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSATB1 cKOマウス頸部リンパ節T細胞移入ヌードマウス体内で活性化されたB細胞を分離し、さらにRag2ノックアウトマウスへの移入実験を行う予定である。Rag2ノックアウトマウスにおける病原性B細胞動体の解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
マウスの飼育費として予定していた金額が、実験の都合で飼育匹数が少なくなったため次年度へ繰越となった。 2022年度の未使用分は、2023年度のマウス飼育費と論文投稿費に当てる予定である。
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