2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of factors contributing to disease severity using COVID-19 mouse models with different severity.
Project/Area Number |
22K07038
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
安井 文彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, プロジェクトリーダー (40399473)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 加齢 / 宿主因子 / 肺線維症 / 重症肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、呼吸器官がウイルス増殖を許容する機序と重症化への寄与を解明し、COVID-19の重症化因子の同定と新たな治療戦略の確立を目指している。 今年度は、SARS-CoV-2の変異株の一つであるベータ株の感染に対して脆弱であり、著しい体重減少と致死性肺炎を発症する老齢BALB/cマウスを中心に病態と炎症マーカーの解析を進めた。老齢BALB/cマウスでは、若齢のBALB/cマウス及びC57BL/6マウスに比べて、SARS-CoV-2ベータ株感染後のサイトカイン・ケモカインの産生量が多く、かつ持続的であることが判明した。更に、ウイルス感染から継続的に測定した48因子について、上記マウスの3群間で主成分解析と変数重要度スコア化を行った結果、病態の重症度に関連する15因子を見出した。また、肺組織からRNA抽出を行い、遺伝子解析試料を調製した。今後は、これら因子が重症肺炎に与える影響について、細胞移入や薬剤投与により解析を進める予定である。 更に、SARS-CoV-2ベータ株感染後に生存した老齢BALB/cマウスでは、感染14日後の肺組織中の感染性ウイルスは検出限界以下にまで減少していたが、体重は回復しておらず、間質性肺炎や炎症細胞浸潤などの病態は持続していた。また、マッソントリクローム染色及びエラスチカ・マッソン・ゴールドナー染色を用いた病理解析によって、広範な肺の線維形成が確認された。本モデルは、ヒトで見られるコロナ後遺症の解析に使用できる可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料の調製に時間を要した為、大規模遺伝子解析が当初計画よりもやや遅延した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに見出したサイトカイン・ケモカイン、および得られた遺伝子発現変動をもとに、病原性に関わる因子の同定を試みる。これら因子について、阻害剤や活性化剤が利用可能な場合には、それらを使用した際の表現系の変化を解析する。 また、上記解析で見出した因子のうち、組織線維化に関与する因子については、その阻害実験により、SARS-CoV-2ベータ株を感染させた老齢BALB/cマウスが示す線維症に対する改善効果を検証する。
|
Causes of Carryover |
表現系解析に使用する研究消耗品を当初計画した金額よりも安価に入手することができたこと、遺伝子解析用の試料の調製に時間を要したことにより計画がやや遅延したことから、次年度使用額が生じた。次年度の助成金と併せて大規模解析経費に充てる予定である。
|