2022 Fiscal Year Research-status Report
A群レンサ球菌の金属輸送系を標的とした治療薬剤としての人工抗体の取得
Project/Area Number |
22K07053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
相川 知宏 京都大学, 医学研究科, 助教 (70725499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 孝志 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10598858)
中木戸 誠 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (80784511)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | A群レンサ球菌 / 金属輸送体 / MntE |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、A群レンサ球菌の金属輸送体の生理機能と、これらの本菌の病原性への影響を解析することで、これらの輸送体を標的とした菌種特異的な人工抗体を作成することを目指している。当該年度においては、主に本菌のマンガン排出装置として知られるMntEの生理機能解析と病原性への影響について解析を実施した。その結果、MntEは菌体内に過剰に蓄積されたマンガンの排出を担っているだけでなく、菌体内の過剰な亜鉛濃度に応答していることが明らかなった。また、MntEの欠損菌株を用いた解析から、本菌の病原性に重要であることが明らかになった。具体的には、MntEによるマンガン濃度の制御が、本菌の強力なプロテアーゼであるSpeBの成熟と活性化に重要であることが明らかになった。本菌は、宿主の免疫細胞内に取り込まれ過剰なマンガンに曝露されると、MntEを介してマンガンを排出することで自身が金属中毒に陥ることを防ぐとともに、SpeBの活性化を誘導することで宿主に対して病原性を発揮していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に示したA群レンサ球菌MntEに関する解析の成果は、現在海外誌に投稿中であり、研究の進捗は概ね良好といえる。ただし、本菌の金属の獲得分子の解析については、さらに研究進度を加速していく必要があると考えている。また、最終的な人工抗体の標的となる分子の候補の絞り込みも実行していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、A群レンサ球菌の金属獲得分子の解析を積極的に進めていく。具体的には、亜鉛獲得分子であるAdcレギュロンの構成分子の生理機能と病原性へのインパクトについて解析を行う。これまでに、個々のAdcレギュロンの構成分子の欠損菌株の作成を終えていることから、これらの変異株を用いて、増殖試験、細胞感染実験、マウス感染実験を実施していく予定である。亜鉛獲得分子群は菌体表層に、大部分が露出した状態でアンカリングしていることから、抗体の標的としても適していると考えられるため、変異株を用いた解析から得られた知見をもとに、抗体の標的分子の絞込みについても実施していく。
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