2022 Fiscal Year Research-status Report
Identification of pathogenic factors important for in vivo virulence of Francisella tularensis
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22K07054
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
清水 隆 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (40320155)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 野兎病 / Francisella / MAIT細胞 / 免疫抑制 / 宿主因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
人獣共通感染症は動物を介してヒトに感染する感染症で、近年の気候変動などからその再興が危惧されている。中でも野兎病菌は感染力が強 く、罹患時の死亡率が高いことから二種病原菌に指定され、バイオテロへの悪用も危惧されている。しかしながら野兎病菌の病原性メカニズム には不明な点が多く、感染に重要な宿主側の因子もほとんどわかっていない。 本研究では野兎病菌Fransicella tularensisの生体内における病原性を決定している因子を同定することを目的とし、A. 比較ゲノムによる生体内病原因子の同定、 B. 免疫抑制機構に関わる因子の同定、C. 感染における宿主因子の同定、の3点に焦点を当て研究を行った。 Aでは高病原性F. tularensisと低病原性F. novicidaのゲノムを比較し、ribD遺伝子に着目した。ribD遺伝子が高病原性の配列の場合は宿主のMucosal associated invariant T(MAIT)細胞のリガンドを産生できず、MAIT細胞による認識から逃れることが可能なため病原性が高くなることを見出し、報告した。 Bでは免疫抑制に関わる遺伝子としてpyrC遺伝子を同定し、報告した。 CではCRISPR遺伝子編集を用いて野兎病感染に重要な宿主因子を同定した。そのうち2つに焦点をあて、現在研究中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では野兎病菌Fransicella tularensisの生体内における病原性を決定している因子を同定することを目的とし、A. 比較ゲノムによる生体内病原因子の同定、 B. 免疫抑制機構に関わる因子の同定、C. 感染における宿主因子の同定、の3点に焦点を当て研究を行っている。 Aでは高病原性F. tularensisと低病原性F. novicidaのゲノムを比較し、アミノ酸変異が蓄積しているribD遺伝子に着目した。ribD遺伝子はリボフラビン合成経路の遺伝子であり、Mucosal associated invariant T(MAIT)細胞のリガンドである5-(2-oxopropylideneamino)-6-D-ribitylaminouracil (5-A-RU)の産生に重要である。レポーターアッセイの結果、高病原性由来のribD遺伝子をもつ野兎病菌ではMAIT細胞を活性化することができなかった。さらに、高病原性由来のribD遺伝子をもつ野兎病菌ではマウス体内で病原性が増強することが明らかとなった。これらのことからribD遺伝子が宿主MAIT細胞の活性化および病原性に重要であることが明らかとなった。この結果をLife Sci Alliance誌に報告した。 Bでは野兎病菌のトランスポゾン変異株ライブラリ4000株から炎症性サイトカインの誘導が増強する変異株をスクリーニングすることにより、免疫抑制に関わる遺伝子としてpyrC遺伝子を同定した。pyrCはピリミジン合成経路に関与する遺伝子であり、stimulator of interferon genes (STING)経由で免疫を抑制することが明らかとなった。この結果をFront Cell Infect Microbiol誌に報告した。 CではCRISPR遺伝子編集を用いて野兎病感染に重要な宿主因子を同定した。そのうち2つに焦点をあて、現在研究中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では野兎病菌Fransicella tularensisの生体内における病原性を決定している因子を同定することを目的とし、A. 比較ゲノムによる生体内病原因子の同定、 B. 免疫抑制機構に関わる因子の同定、C. 感染における宿主因子の同定、の3点に焦点を当て研究を行っている。 Aでは野兎病菌のribD遺伝子が宿主のMAIT細胞活性化に重要な役割をはたしていることをすでに明らかとした。今後はribD遺伝子がどのようにMAIT細胞を活性化しているのか、その詳細メカニズムに焦点をあて、研究を継続する。 Bでは野兎病菌のトランスポゾン変異株ライブラリのスクリーニングからpyrC遺伝子以外の遺伝子も免疫抑制に関与することが明らかとなっている。今後はこれらの因子を解析することにより、さらなる免疫抑制メカニズムの解明を目指す。 CではCRISPR遺伝子編集を用いて野兎病感染に重要な宿主因子をすでに複数同定済みである。そのうち2つに焦点をあて、野兎病感染における宿主反応のメカニズムを解明していく予定である。
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