2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on the Infection Mechanism and Control of Norovirus
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22K07097
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Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
ソン チホン 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 特任助教 (20755516)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ノロウイルス / 構造変化 / マウスノロウイルス / ヒトノロウイルス / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
クライオ電子顕微鏡を用いてマウスノロウイルス感染性粒子とヒトウイルス様中空粒子(VLP)の構造解析を行ってきた。最近、ノロウイルスが突起の変化により可逆的な2種類の構造(突起下降:Aタイプ、突起上昇:Bタイプ)を示すことを発見した。本研究では、ノロウイルスのキャプシドにおける2つの構造の生理的な意義を発見し、この性質を活かした治療薬やワクチンの開発を目的としている。 1.細胞受容体分子の結合位置の解析: 細胞受容体分子CD300lfとウイルス粒子を結合させ、クライオ電子顕微鏡で観察したところ、CD300lfが結合することでウイルス粒子が分解されることがわかった。しかし、クライオ電子顕微鏡で構造解析を行うためには、ウイルス粒子がそのまま構造を維持する必要がある。そのため、ウイルス粒子をパラフォルムアルデヒドなどの固定剤で固定する方法を検討した。また、ウイルス粒子ではなく、ウイルス粒子を構成するVP1タンパク質とCD300lfを結合させてクライオ電子顕微鏡で構造解析を行なった。現在は、300kVクライオ電子顕微鏡でのデータ収集は終了し、Relionを用いて解析を行っている。 2.ヒトノロウイルスHNoV VLPの高分解能解析における二つの構造について、それぞれ2.8オングストローム(Aタイプ)と7.2ソングストローム(Bタイプ)の分解能で構造解析が行われていた。より高い分解能を得るために、Cold FEGとSelectris Xエネルギーフィルターを装着した最高性能の300kVクライオ電子顕微鏡を使用してデータを収集し、現在3次元構造解析を行っている。 3. ヒトノロウイルスのB型への構造変化の条件を知るためにpH、カルシウムイオンの有無、塩濃度や様々な消化酵素を検討して、条件を絞り込んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞受容体CD300lfとノロウイルスの結合構造は、現在までVirus like particle(VLP)を用いて構造分析を行ってきた。VLPの場合、CD300lfが結合しても粒子の分解は起こらない。しかし、構造的に不安定で簡単に壊れる傾向があるため、高分解能で解析することは困難であった。現在までに約10オングストロームまでの解析が可能であった。今年はこの問題を解決するために、核酸を持つ感染性ノロウイルスを用いた。しかし、感染性ノロウイルスの場合、受容体と結合後にカプシドの構造が分解してしまうことがわかった。このことも感染メカニズムを理解する上で重要な事実である。受容体が結合した後に分解されてしまう問題を解決するために、化学固定剤を使用し、受容体の結合を妨げずに分解を防ぐ条件を見つけ出した。また、カプシドを構成するタンパク質と受容体との直接的な結合を明らかにするために、両タンパク質を混合して結合率をMass phtometryで調べた後、クライオ電子顕微鏡で解析を進めている。現在、データはすべて収集され、構造解析を進めている。ヒトノロウイルスHNoV VLPの構造解析も、分解能を高めるためにCold FEGとSelectris Xエネルギーフィルターが装備された最高性能のクライオ電子顕微鏡で再度データを解析している。比較的構造解析が困難だったB型の場合は、3オングストローム以上の解析結果を示すことが予想されている。一方、HNoVのB型への構造変化の条件を知るために塩濃度や様々な消化酵素を検討して条件を絞り込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 粒子形成機構の解明 - 細胞内で形成される構造タイプの調査: 細胞内で形成される構造タイプはBタイプであると仮説を立てている。これを調べるために細胞内で生まれた直後の粒子の構造を調べる。Cryo-EM観察用のグリッドの上で直接細胞を培養して、マウスノロウイルスを感染させる。その後、グリッドを凍らせて、電子線トモグラフィーを行い、3次元再構築を行う。さらにサブトモグラム平均化の方法で粒子像の分解能を高めて、細胞の中での構造のタイプを調べる。 2. 治療薬の研究1 - 抗体の結合場所の決定とBタイプの免疫回避の可能性の調査: マウスノロウイルスの抗体は研究協力者によりすでに同定されている。抗体はフレキシブルな構造なので、抗体をそのまま結合させて構造解析を行うことは難しい。抗体のFabのみを作製し、それをマウスノロウイルスと反応させ、その構造をCryo-EMにより解析する。その時の2つの構造における抗体の結合性の差を調べることによりBタイプの免疫回避の可能性を調べる。 3. 治療薬の研究2 - 構造変化を阻害する抗体の調査: ノロウイルスの進化はPドメインの変異により起こり、Sドメインはほぼ保存される。PドメインとSドメインの間に入り込んで、Sドメインに結合する抗体があればウイルスの変異とは関係なく持続使用可能な治療薬の開発につながると考えられる。現在同定されている抗体を検討するとともに、新しくSドメインに結合する抗体を作製する。
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Research Products
(1 results)