2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of rotavirus replication mechanism with a focus on viroplasm
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22K07100
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小瀧 将裕 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10758816)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ロタウイルス / 複製機構 / viroplasm |
Outline of Annual Research Achievements |
ロタウイルスは小児に感染性胃腸炎を起こすウイルスで、世界では依然として年間約20万人がロタウイルス感染によって死亡していると推定されている。より効果的なワクチン、あるいは治療薬の開発は急務であり、そのためにはウイルス複製機構の解明が必要である。 ロタウイルスは感染細胞内においてウイルス複製を行う場としてviroplasm(封入体)を形成する。ロタウイルスのNSP2, NSP5タンパク質は宿主因子と共にviroplasmを形成し、ウイルス複製(主にパッケージング、粒子形成)に関与するが、詳細な機構は不明である。そこで本研究では、リバースジェネティクス系を用いて網羅的にNSP2変異ウイルスを作製し、その解析を通してviroplasmでのウイルス複製機構を明らかにすることを目的とした。 NSP2の変異ウイルス31種類の作製を試み、18種類の変異ウイルスの作製に成功した。そのうち、3種類の変異ウイルスは親株と比較して感染性ウイルス産生量が大幅に低下していることを見出した。特に、感染後4時間以降でウイルスRNA複製量、タンパク質発現量が顕著に低下していると判明し、viroplasmでのRNA複製に異常があると推測された。そこで、実際にviroplasm形成を解析したところ、これらの変異ウイルスはviroplasmの形成数、大きさ共に野生型と比較して低下していた。また、液-液相分離の観点からの解析も行い、viroplasmの液滴としての性質にも変化があった。以上より、viroplasm形成に関与するNSP2の領域を3箇所同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の到達目標は変異ウイルスの網羅的作製および増殖力の異なる変異体の選定であった。実際には増殖力の異なる変異体を3種類作製し、そのviroplasm形成に異常があることを明らかとした。おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにviroplasm形成に関与するNSP2の領域を3箇所同定したが、それらがどのようにviroplasm形成に関与しているのかは未だ明らかでない。これらのウイルスにおいてはviroplasmの液滴としての性質も変化したことから、変異により宿主因子との相互作用が変化したと考えられる。 そこで、今後は特に宿主因子に焦点を当てた解析を行う。具体的には、免疫沈降-質量分析、近接標識法を用いて、viroplasm形跡に関与する宿主タンパク質の網羅的同定を試みる。また、宿主RNAもviroplasm形成に関与するとの報告があるため、RNA免疫沈降や次世代シーケンサーを用いた網羅的解析も試みる。 これらの解析に変異ウイルスを用いることで、viroplasm形成に関与する宿主因子の効率的な同定、ひいてはviroplasm形成機構の解明が期待される。
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Causes of Carryover |
理由:当初の予定より効率的に変異ウイルスの作製に成功し、予算の使用が抑えられた。 使用計画:宿主因子との相互作用の解析に必要な消耗品費に充てる。
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