2022 Fiscal Year Research-status Report
HIV-1感染におけるDNA脱アミノ化酵素群の真の役割の解明
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22K07103
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
池田 輝政 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 准教授 (00588410)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | APOBEC3 / 脱アミノ化依存的HIV抑制 / 脱アミノ化非依存的HIV抑制 / G-to-A mutation / HIV-1 / Vif / THP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスは宿主細胞の様々なタンパク質を利用することにより自身を複製するが、宿主細胞も様々な防御機構によりウイルス感染を防御しようとする。ウイルス感染抑制に関わる重要なタンパク質の1つがAPOBEC3 (A3) ファミリータンパク質である。A3ファミリータンパク質はヒトでは7つのタンパク質で構成されるが、それぞれの標的や機能が重複しており、A3ファミリータンパク質全体のウイルス感染における役割は完全に明らかにされていない。そこで本研究では、A3ファミリータンパク質の真の生理的役割を明らかにする目的の一端として、本研究室で樹立した全A3遺伝子欠損THP-1細胞を用いて、HIV-1感染におけるA3ファミリータンパク質の真の役割を明らかにすることを目的とした。 この目的を達成するために、樹立した全A3遺伝子欠損株において、VSV-Gシュードタイプウイルスを用いた、シングルラウンドのHIV-1感染実験を行った。その結果、樹立した全A3遺伝子欠損株では、Vif欠損HIV-1は、野生株と同等の感染性になることが明らかとなった。また、全A3遺伝子欠損細胞から産生されたVif欠損HIV-1プロウイルス上のG→A変異数を検証したところ、A3タンパク質由来のG→A変異は観察されなかった。また、HIV-1後期逆転写産物の量を測定したところ、全A3遺伝子欠損細胞から産生されたVif欠損HIV-1と野生株の逆転写産物の量はほとんど同じであった。 したがってこれらの結果から、THP-1細胞においてHIV-1複製に必要なVifの標的タンパク質は、A3ファミリータンパク質であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従って、研究を実施できた。現在この研究成果を、bioRxivに公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
HIV-1複製におけるA3ファミリータンパク質の寄与を解析する。
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Research Products
(10 results)