2022 Fiscal Year Research-status Report
原発性免疫不全症における免疫不全と自己免疫の合併機序
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22K07132
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
平田 多佳子 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00346199)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 免疫学 / 自己免疫疾患 / 原発性免疫不全症 / ERMタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性免疫不全症は、免疫を担う細胞や分子の欠損や機能異常により易感染性を主な症状として呈する疾患群である。その多くは単一遺伝子病であり、300種類以上の原因遺伝子が知られている。近年、原因遺伝子としてアクチン細胞骨格の調節因子が数多く見つかり、そのうち、ERMタンパク質の一つであるmoesinの遺伝子変異は、原発性免疫不全症の新たな病型X-MAIDを引き起こすことが明らかとなっている。原発性免疫不全症では自己免疫疾患の合併を多く認めることが知られているが、その発症機序の詳細は不明の点が多い。研究代表者がこれまで解析を進めてきたmoesin欠損マウスは、X-MAIDの臨床像と類似する末梢リンパ球減少を示すとともに自己免疫疾患を発症することから、自己免疫合併機序を解析するための有用なモデルになる。本研究は、moesin欠損マウスや変異マウスを用いて、“免疫不全”と“自己免疫”がリンクする機構を解明することを目的とした。 moesin欠損マウスでは加齢とともに自己免疫病態が見られるようになり、その背景として自己反応性T細胞が出現することが考えられることから、野生型およびmoesin 欠損マウスの脾臓のT細胞のTCRレパトアを解析した。野生型と比較して、T細胞全体ではレパトアの偏りは見られなかったため、今後Tfh細胞について検討することとした。さらに、ヒトの病態をより忠実に再現するため、X-MAIDのほとんどの症例で同定されるミスセンス変異R171Wをもつノックインマウスを作製することとした。培養細胞を用いてCRISPR-Cas9システムによるノックインの最適化を進めた。これまでにガイドRNAおよびR171W変異をもつドナーDNAの選定を行い、受精卵でのノックインの準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
moesin欠損マウスのT細胞のTCRレパトア解析を行った。また、ノックインマウス作製の準備も整った。
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Strategy for Future Research Activity |
moesin欠損マウスのTfh細胞のTCRレパトア解析を行う。また、R171W変異マウスを作製し、病態を解析する。
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