2022 Fiscal Year Research-status Report
胎児に対する免疫学的寛容を誘導するマクロファージの同定
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22K07138
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大木 拓究人 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (30878864)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 免疫学 / 不妊治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、子宮に存在する炎症抑制性マクロファージを新たに同定した。さらに他のマクロファージサブセットを探索したところ、炎症誘導性のマクロファージも新たに発見し、全く異なる局在を示すことが明らかとなった。 実際の妊娠にどのような機能を持つのかを解析するため、新たに発見した炎症抑制性のマクロファージのみを欠損させる実験系を確立した。興味深いことに、新たに発見した炎症抑制性マクロファージを欠損させると着床不全が誘導されることを見出した。現在、着床並びに免疫寛容にどのように関与するのかを解析中である。 また、子宮に存在する炎症抑制性マクロファージを特徴付けるいくつかの細胞表面抗原を同定し、実際の発現をFACSにより確認することができた。その分化に必要と考えられる転写因子についても複数の候補を絞り込むことができたため、今後それらを欠損させた遺伝子組み換えマウスを作製し、妊孕性とその細胞の分化に障害がないかを確認する。 MHCが異なる個体間では皮膚移植が出来ないが、新たに発見した炎症抑制性マクロファージを同時に移植することにより、移植片の生着が延長するデータも得ている。この細胞は制御性T細胞や制御性B細胞のように、免疫抑制性の一翼を担う免疫細胞であると考えられる。この細胞の分化、維持機構を明らかにすることによって、不妊や移植の新たな治療に結びつく可能性がある。今後は制御性T細胞を含めた他の免疫細胞、非免疫細胞との相互作用にも焦点を当て研究を推進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに発見した炎症抑制性のマクロファージが妊娠に必須であることを証明し、さらには炎症誘導性のマクロファージを新たに発見することができたため。しかし、その詳細な機能や、他の細胞との相互作用については解析できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに発見した炎症抑制性のマクロファージのみを欠損させる実験系ができたため、他の免疫細胞、非免疫細胞との相互作用を明らかにする。また、妊娠に必須である制御性T細胞の誘導に、その抗原特異性を含めてどのような影響を与えているのかを明らかにする。今後、新たに発見した炎症抑制性マクロファージの分化に必須である転写因子の同定を試み、対外での培養を可能とすることを目指す。
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Causes of Carryover |
研究代表者が発見した細胞の表現系を抗体を購入して検討する予定であった。 しかし、その細胞を除去できる遺伝子組み換えマウスにおける表現系の解析を優先したため購入する予定の抗体をまだ買っていないため。次年度に差額分で抗体を購入予定である。
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