2022 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of the cancer promoting-signal transduction based on the plasma membrane
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22K07151
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梶原 健太郎 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (30581102)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | がん / 増殖因子受容体 / 脂質ラフト / CDCP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞では様々な増殖因子レセプターが変異とともに過剰発現しており、細胞内シグナル伝達が活性化しやすい状況になっている。さらに一部のレセプターが集積することによって、多様なシグナル伝達の活性化が起こることが知られている。我々は様々な増殖因子レセプターと相互作用するタンパク質CDCP1を同定した。CDCP1は脂質ドメインに移行する特性があり、過剰発現すると様々なレセプターが集積し、シグナル活性化の亢進が起こることを明らかにした。すなわち、CDCP1は増殖因子レセプターのハブとして機能している可能性が考えられる。今後は、このCDCP1をターゲットにした創薬の基礎研究を展開する。2022年度は以下の研究を実施した。 【研究A】構造情報をベースにしたCDCP1による増殖因子レセプターの機能制御の解析:CDCP1の構造変化前後のタンパク質を精製して、結晶構造解析を実施した。得られた構造情報から、構造変化の仕組みの一端を明らかにした。さらに、増殖因子レセプターとの相互作用に重要なアミノ酸の候補を見出すことができた。 【研究B】CDCP1の空間的な制御の理解に向けた研究:タンパク質の脂質ドメイン移行には、脂肪酸修飾が重要な要件である。脂肪酸修飾を触媒するZDHHCタンパク質は多数存在しており、これまでにCDCP1の脂質修飾を担う責任ZDHHCを同定するためのアッセイ系の構築を行った。 【研究C】相互作用の阻害方法の開発に向けた基礎研究:CDCP1は細胞外領域を介して複数の増殖因子レセプターと相互作用する。これはCDCP1の細胞外領域を制御することで、レセプターとの相互作用、ひいてはその機能を調整できる可能性を示唆している。そこで、CDCP1の細胞外領域を制御することを目的として、結合タンパク質の調整に取り組んだ。これまでにCDCP1に結合することが想定されるタンパク質を複数種類作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究A】CDCP1の構造変化によって増殖因子レセプターとの相互作用が大きく変化する。これが本研究の最大のポイントのひとつであるが、おおよその変化のメカニズムを構造レベルで理解することができたため。さらに、増殖因子レセプターとの相互作用に重要なアミノ酸候補を見出すことができたため。 【研究B】CDCP1の脂肪酸修飾を担うZDHHCタンパク質のアッセイ系の基礎を構築することができたため。 【研究C】当初の予定通りに、CDCP1の細胞外領域と相互作用するタンパク質を複数種類作製することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究A】切断型CDCP1の構造変化の詳細を理解するために、引き続き結晶構造解析を実施する。さらに、前年度までに見出した増殖因子レセプターとの相互作用に重要なアミノ酸候補に変異を導入するなどして、CDCP1と増殖因子レセプターの相互作用を定性的、定量的に解析する。 【研究B】前年度までに構築したCDCP1の脂肪酸修飾のアッセイ系を利用して、責任ZDHHCタンパク質の探索を実施する。責任酵素候補を見出すことができた場合には、その機能解析を実施する。 【研究C】前年度までに作製したCDCP1の細胞外領域と相互作用するタンパク質の評価を、CDCP1と増殖因子レセプターが高発現しているがん細胞を利用して実施する。必要に応じて、相互作用タンパク質の改変にも着手する。
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Causes of Carryover |
適時必要な物品などを購入したが研究はおおむね順調に進行し、また論文の出版費用に対して大学からのサポートがあったため、事前に想定した所要額より小さくなった。次年度使用額は、さらに研究を推進するために使用する。特に、研究代表者の異動があったため、研究環境の整備に使用する。
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Research Products
(6 results)