2022 Fiscal Year Research-status Report
転移性乳癌で生じる多様な変異体タンパク質の機能異常性の網羅的解析と病的意義の解明
Project/Area Number |
22K07161
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
中太 智義 公益財団法人がん研究会, がん研究所 がんエピゲノムプロジェクト, 研究員 (10364770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 玲緒 公益財団法人がん研究会, がん研究所 がんエピゲノムプロジェクト, プロジェクトリーダー (60607985)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 乳がん / 変異体 / scRNA-seq解析 / scATAC-seq解析 / レンチウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、転移性乳がんで生じる多様な変異体タンパク質の機能異常性を網羅的に解析するための実験系を構築し、その病的意義を明らかにすることを目的とする。 はじめに、転移性乳がんで特異的に認められる遺伝子変異を抽出し、機能解析の対象とする候補を選定することを試みた。乳がんゲノム解析の各種文献やTCGA、COSMIC等の公共データベースから遺伝子変異に関するデータ(遺伝子上のアミノ酸部位、塩基置換の種類、アリル頻度等)を抽出し、原発乳がんと転移性乳がんでの頻度を網羅的に解析し、転移性乳がんで有意に頻度が上昇する変異群を同定した。さらに文献的な考察も加え、機能解析の対象とする変異候補を絞り込んだ。 つぎに、変異体たんぱく質の機能異常性を網羅的に解析するためのシステム構築を試みた。本研究ではシングルセル解析とバーコード技術を組み合わせて、変異体の機能的解析を実施する計画である。そのため、ベクターの種類を特定できるバーコードをscRNA-seq解析やscATAC-seq解析で検出できるようなレンチウイルスベクターのシステムの構築を試みている。そのために必要なコンストラクトを作成し、各種実験条件の検討を行っている。 さらに変異体の機能解析を実施する上で、どの細胞を用いて解析するかの選定が重要となる。そのため、いくつかの遺伝子のレポーターベクターを作成し、複数の乳がん細胞株においてレポーター活性を測定しデータベース化している。それにRNA-seqデータやATAC-seqデータのプロファイルを加味して、変異体の機能解析を実施するための最適な細胞株の選定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析対象となる変異体候補の同定や、シングルセル解析を応用した機能的スクリーニングの実験系の構築は、計画通り進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
変異体の網羅的な機能解析のためのシングルセル解析システムを完成させる。実際に解析対象とする変異体を導入したウイルスベクターを構築し、がん細胞株に感染させ、機能的スクリーニングを実施する。いくつかの条件下で実験を行い、機能異常性を有する変異体の候補を同定し、さらなる機能解析に展開する。
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Causes of Carryover |
今年度は研究室内で既に購入済みの試薬や消耗品の活用ができたことから、予定使用額が下回った。次年度はNGS解析を多く予定しており、次年度に持ち越した分を有効に活用する計画である。
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Research Products
(5 results)